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AIで進化するRPA、普及に弾み 定型の事務作業自動化で人手不足解消 (2/2ページ)

 米オートメーション・エニウェアが3月に発表した新技術は、AIと機械学習を活用して、顧客企業で使用されているシステムやアプリの操作記録(ログ)を検知・分析。無駄なプロセスや、標準の手順から逸脱している操作を発見し、最適なRPAを作成する。

 同社の顧客調査によると、「自動化できるにもかかわらず、手作業で行われている反復業務の約8割が、自動化の対象として認識されていない」という。この新技術なら、AIが自動化できうる事務作業を迅速に発見できる。

 同社は2018年11月、ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)から3億ドル(約330億円)の出資を受けた。ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は昨年6月、東京都内で開かれたイベントで、「RPAという『デジタルワーカー』なら24時間365日働ける。人間に比べて5倍の労働人口を提供でき、生産性も倍になる」とRPA導入のメリットを説いた。

 米Kofax(コファクス)は今年2月末、RPAやOCR(光学文字認識)機能などを備えたAIによる製品の最新版を発売した。同社は、日本企業の課題とされる、情報漏洩(ろうえい)への対応や生産性の向上のニーズに応える。

 国内RPA業界の関係者が動向を見守っているのが、4月にRPA機能を備えた「Power Automate(パワーオートメイト)」を発売した米マイクロソフトだ。同社の主要サービス「Office(オフィス)365」は国内で広く普及しており、「オフィス365でRPAの使いやすさを浸透すれば、会社全体での導入が期待できる」(外資系のRPA業者)とみているからだ。

 コロナ拡大で注目

 新型コロナの影響で、企業の事業縮小・変更が相次いでいる。NTTデータでも、WinActorの保守サポートサービスからの回答に従来と比べて時間がかかるようになっているほか、RPAの技術者検定の開催中止を決めるなどの影響が出ている。ただ、外資系企業の営業担当者は「出勤制限で人手が足りなくなった企業から、『RPAでなんとかならないか』という相談が来ている」と明かすなど、新規導入に向けた動きもあるという。在宅勤務の拡大など働き方が大きく変わろうとしており、RPAの役割が見直される機会になるかもしれない。(鈴木正行)

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