財務省近畿財務局が27日公表した4月の管内経済情勢報告は、近畿2府4県の景気判断を新型コロナウイルス感染拡大の影響から7年3カ月ぶりに引き下げた。訪日外国人客(インバウンド)の激減や外出控えによって冷え込んだ個人消費のほか、生産活動と雇用情勢の項目も判断を下げた。青木孝徳局長は緊急事態宣言を受けた経済情勢を「今までに経験のない状況」と述べ、先行きに警戒感を示した。
景気の総括判断は平成30年1月以来続いていた「緩やかに拡大しつつある」から「経済活動が抑制されるなか、足下で急速に下押しされており、極めて厳しい状況にある」へと下方修正した。判断の引き下げは欧州各国の債務危機や海外経済が失速していた25年1月以来。
青木局長は個人消費について、スーパーでは食料品や日用品の売り上げが伸びているとしつつも、関西経済を牽引したインバウンド消費の急減で一部百貨店は3~5割程度、売り上げが落ちたと説明。製造業でも部品の供給不足によって生産が低迷しているという。
また、企業の資金繰りが苦しくなっていることから、地域金融機関の役割が大きくなっていると指摘。不良債権化のリスクを認めつつ「融資をはじめ、あらゆる面で企業を支援するよう願っている」と述べた。