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「店舗家賃の減免、猶予を」 外食経営者要求、与野党が支援検討

 新型コロナウイルスの感染拡大で売り上げが大幅に減った外食産業の経営者が、店舗の家賃支払いの減免、猶予を認めるよう政府に求めている。与野党も支援に向けて動きを見せ、補助策を打ち出す自治体も出てきた。雇用維持のためにも固定費負担の軽減は欠かせない。「生き延びるためのサポートを」と訴えている。

 飲食店経営のワンダーテーブル(東京)は緊急事態宣言の発令を受け、今月8日から国内の約50店舗のレストラン営業を休止。社員への給与支払いに充てるため、一部店舗で持ち帰りやデリバリーの販売を続けている。

 売り上げは昨年4月の10億円以上に対し、今月は持ち帰りなどの販売で約8000万円の見込み。毎月の家賃は1億円以上、人件費も2億~3億円に上り、赤字は内部留保や融資でやりくりする。

 秋元巳智雄社長(50)は「休業しても家賃や社員給与は支払わないといけない。そのサポートをしてほしい。今は我慢のしどころだと思って生き残る方法を必死に考えている」と語った。

 愛知県を中心に100店舗以上の居酒屋などを運営するジェイグループホールディングス(名古屋市)は10日までに全店を休業した。一部を減額する方向で交渉に応じてくれる家主もいるが、月約1億5000万円の家賃は重くのしかかる。

 新田治郎代表取締役(53)は「社員の雇用を守るため、家賃の減免と猶予をセットで実施するのが望ましい」と強調。新たな収入源確保を目指し、介護サービス事業など別の業態への参入も模索しているという。

 元参院議員の松田公太氏ら経営者は21日、ビデオ会議も使って記者会見し、不動産のオーナーに対し店側との話し合いや家賃の猶予・減免の交渉に応じるよう法律で義務付けることを訴え、与野党も支援を検討する。

 ただ政府は、中小企業に最大200万円、個人事業主に最大100万円を支給する「持続化給付金」を補正予算案に盛り込んでおり慎重姿勢だ。

 自治体によっては、国に先駆けて支援を決めている。福岡市は50万円を上限として家賃を8割補助することにした。同市内を中心に焼き鳥店を展開するハチベイクルーの八島且典社長(58)は「精神的に救われた。市のために恩返しをしたいし、今後の家賃支払いも猶予してもらえたら経営も楽になる」と話した。

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