新型コロナウイルスの感染防止策として外出自粛が続く中、和歌山市内では苦境に立たされた飲食店などが協力を強めている。地元店の利用を呼びかけるポスターを作成・掲示し、インターネットを活用して市民らに資金支援を呼びかける作戦も計画。飲食店は和歌山県が23日発表した休業要請の対象には直接含まれないが、関係者らは難局打開を目指し、「困難の先に強い和歌山が生まれることを」と力を込める。(藤崎真生)
ポスター作戦
和歌山市内で食堂や居酒屋など複数の店を経営する奥畑公康さん(43)は、3月中旬から「街中ポスター大作戦」と題した運動を展開している。
地元店の利用を呼びかけるため「BUYLOCAL! EATLOCAL!(地元で買おう! 地元で食べよう!)」などのメッセージをデザインしたポスターを作成。市内の飲食店などに掲示を呼びかけた。すでに約80の飲食店や小売店などが、この活動に賛同したという。
参加した店のひとつが、市中心部にある人気イタリア料理店「ワイン食堂 エノトリア」(十番丁)。多くの市民に親しまれているが、外出自粛で厳しい状況にあるという。
オーナーシェフの柳生享祐さん(50)は「例年と比べた場合、4月全体の売り上げは3分の1になるのでは。こうした時だからこそ、各店がひとつになるのは良い機会」と語る。
ネット活用検討
奥畑さんが運動を始めた理由は、外出自粛が各店に与える影響が深刻化しているためだ。隣の大阪府に緊急事態宣言が出されて初の週末となった4月11日、奥畑さんの運営する居酒屋の客は、わずか数人に激減したという。
こうした状況を打開するため、ポスターの作成・掲示だけでなく、ネットを活用して資金支援を受ける仕組みづくりも進めている。
奥畑さんによると、「未来チケットわかやま」と題し、クラウドファンディングを扱うインターネットサイト「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」を通じて受け付ける。支援者が各店の食事券などを購入し、感染が終息した時期に「先払いした分」で店の飲食などに利用できる仕組みを検討している。
千葉県柏市で実際に進んでいる活動を参考にしており、賛同する飲食店を募っている。28日ごろまでにはスタートさせたい考えで、目標額は約300万円。
奥畑さんは「今は皆が一丸となって頑張らなくてはならない。危機を乗り切ったときに和歌山の経済が強くなる」と前を向く。