日本航空が30日発表した2020年1~3月期連結決算は、新型コロナウイルスの感染拡大により航空需要が急減したため、229億円の最終赤字に転落した。四半期で最終赤字となるのは、12年の再上場後初めてとなる。航空業界は世界的に危機的状況で海外では政府支援の動きが活発になっているが、オンライン会見した菊山英樹専務は資金調達などの面で自助努力を強調した。航空大手ではANAホールディングス(HD)も20年1~3月期に587億円の最終赤字だった。
日航の20年1~3月期は、売上高が前年同期比21.3%減の2803億円、営業損益は195億円の赤字となった。菊山氏は「赤字転落はまだまだ努力が足りなかったのではと反省している」と述べた。
20年3月期通期は、売上高が前期比5.1%減の1兆4112億円、営業利益が42.9%減の1006億円、最終利益が64.6%減の534億円だった。第3四半期まで売上高は前年並みで推移したが、新型コロナウイルスの影響で1~3月期の業績悪化が響いた。21年3月期の業績予想の開示は見合わせた。
世界の航空会社は、各国の移動制限で旅客需要が激減。売上高も減少の一途をたどっており、コスト削減や資金調達が最大の課題となっている。
日航は、ANAHDとは異なり、コスト削減の一環としての一時帰休はしておらず、菊山氏は「雇用の維持は最も重要」と強調した。一方で、200億円の社債の発行や民間金融機関からの借り入れ、航空機を売却してリース契約を結ぶなどの「自助努力」により、新型コロナウイルスの影響が出てから4月までに約1040億円を確保した。今後も資金確保のため、金融機関との調整は続ける考えだ。