中小企業へのエール

水素燃料車「MIRAI」 混迷の時代に新しい“未来”を期待 (1/2ページ)

 最近20年来の愛車から、「未来を先取りして環境に一番貢献できる車にしよう」と水素で走る「MIRAI(ミライ)」に買い替えた。燃料電池車(FCV)は、高圧冷却した液体水素を車に注入する。スタンドで給油するのと大差ないが、エンジンの仕組みはまったく違う。ガソリンを爆発させてシリンダーの回転で運動エネルギーを得るのに対して、水素燃料は水素と空気中酸素を化学反応させ発電しモーターを回す。(京都先端科学大・旭川大客員教授 増山壽一)

 ゆえに爆発音がなく静かであり、直接駆動するのでスポーツカーのような駆動性を味わえる。また、排ガスの代わりに水を発生させるので環境面は大幅に優れている。仕事の関係で、何回か乗った経験からも納得の実体験だ。

 ここからは、現状の課題ともっと普及させるためにはどうすればいいかを述べてみたい。

 まず水素ステーションが少ない。東京と愛知の間に集中している上に、高速道路にはほとんどない。例えば、東京から軽井沢や那須に行くとする。関越道や東北道にはないので往復できない可能性がある。

 次に営業時間は、午前9時から午後5時までの所が多い。これまで東京や名古屋の法人相手に販売し、運転手がいて移動範囲が限定的。このような前提で今のシステムが出来上がっているのがよく分かる。

 続いて車内のカーナビは、ガソリンユーザー向けの情報が中心で水素ステーションの情報がない。アプリによる、水素残量やステーション検索はできるが、将来的にFCVへの転換を促していくならば、今から水素ステーションの情報も入れておきたい。

 現状の課題を解決するためにも、FCVの個人普及を強く推し進めていくことが不可欠だ。それにはまず「水素は安全」「水素社会こそが地球環境問題を解決する切り札である」ことを訴えていく。環境問題に強い関心を持つ個人消費者は確実に増えていて、潜在的市場は存在する。

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