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「仕事を増やせ」コロナ長期化で中小企業も立ち上がる 給付金支給スタート

 新型コロナウイルス感染拡大の長期化で中小企業を取り巻く事業環境の急激な悪化が進む中、中小企業の仕事を増やす動きが始まっている。手元資金の乏しい中小企業にとって、仕事量を増やすことは当面の資金繰りの改善につながる。政府による持続化給付金の支給が始まったが、「現金が手元に届くまで待てない」との危機感がある。

 中小企業支援団体のスマートニッチ応援団(横浜市金沢区)は、中小企業の得意な技術やサービスを各社2分の動画にまとめた「サプライチェーンチャレンジ」を展開している。動画投稿サイト「ユーチューブ」で見ることができ、電話やオンラインを活用した新たな受注獲得を目指す。

 金型設計製作のミヨシ(東京都葛飾区)の杉山耕治社長も早速動画を投稿した。職人が手作業で金型を磨いている様子、金属を切削する工作機械など、普段は目にする機会がないリアルな町工場の世界を見ることができる。杉山社長は「文字だけでは説明しきれない金属の質感、社内の雰囲気なども伝えられる」と話す。

 この動画を企画したスマートニッチ応援団の吉田圭代表理事は「新型コロナウイルスの世界的な流行は、海外に依存したサプライチェーン(部品調達網)のもろさを露呈した。生産の国内回帰に向かう中で、中小製造業自らができることを発信することが大切」と、この取り組みの意義を強調した。

 東京・神奈川地盤の城南信用金庫(同品川区)も中小企業の仕事を増やす取り組みを進めている。東証1部の機械メーカーの日東工器と都内中小製造業との商談会を開催。また城南信金が事務局を務める全国の信用金庫の販路開拓ネットワーク「よい仕事おこしネットワーク」も三越伊勢丹と連携し、全国の信金が地域の隠れた名品を発掘し、三越伊勢丹のカタログギフトで販売する計画だ。

 城南信金の川本恭治理事長は「中小企業が今一番困っていることは仕事がないことだ。資金繰りだけでなく、これからは多くの中小企業で仕事量を増やすための取り組みも絶対に必要だ」と訴えた。

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