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物流業界に倉庫自動化の波 巣ごもり消費、人手不足で高まる需要

 インターネット通販の利用拡大により、取り扱う荷物の量が増え、人手不足が深刻化している物流業界で倉庫内の商品を効率的に移動させる「マテリアルハンドリング(搬送)」機器やシステムの導入が加速している。新型コロナウイルス感染拡大による「巣ごもり」消費も重なり、さらに自動化設備の需要は高まっている。新型コロナの影響で製造業の業績が苦戦する中、物流業界の自動化に対応するマテハンが成長産業として期待されている。

 システム販売拡大

 「巣ごもり消費の拡大でネット通販事業者からのマテハン需要増が期待できる」。マテハン世界最大手のダイフク関係者はこう述べ、意気込む。

 新型コロナの影響で、製造業の多くが2021年3月期の業績予想について前期を下回る見通しを発表する中、ダイフクは、連結最終利益を前期比3.3%増の290億円、売上高を3.7%増の4600億円とプラス予想とした。市場の活性化に合わせ、国内外で自動倉庫や仕分け装置を組み合わせたシステムの販売拡大を狙う。

 同社は18年に「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングと戦略提携した。「製造小売業」から「情報製造小売業」への転換を目指すファストリを機器面で支える。これを最先端の導入事例として営業に生かす考えだ。

 同業大手の椿本チエインも自動化設備の導入を検討する企業の問い合わせが増えている。外出自粛要請でネット利用が拡大し、顧客の荷物の取り扱い量が大幅に増加しているためだ。担当者は「作業者の確保と新型コロナの感染予防が物流現場の課題で、自動化設備の導入が対応策として挙がっている」と語る。

 物流業界では荷物の小型化に対応するため、小物用の自動仕分けシステムの需要が急増している。同社は軽量化し、物流センターに簡単に据え付けられ、すぐに稼働できるシステムの販売を強化している。また、物流センターの完全自動化・無人化を目指したシステム構築に向けてAI(人工知能)画像認識技術の開発にも力を入れる。

 自動化・省人化ニーズについては、IHI子会社、IHI物流産業システムも注力する。担当者は「AI搭載ロボットやIoT(モノのインターネット)などを活用し、グループの総合エンジニアリング力を発揮して差別化を図りたい」と話す。

 市場規模上振れも

 一方、産業機械大手の村田機械は新型コロナの感染拡大で新規の受注や引き合いは増えていないという。同社は物流向けを多く扱うが、「取引先各社とも商談を進める状況ではない」(担当者)と説明する。ただ、「新型コロナの影響による荷物増で(物流)現場の負担は大きくなっている。進化が必要な点は変わらない」(同)と前向きにとらえる。

 昨年は米物流システムメーカー、アラートイノベーションと提携。米ウォルマートが採用しているロボットで入庫・保管・商品選別・出庫までをトータルで行う倉庫システム「アルファボット」の販売を拡大し、需要を取り込む考えだ。

 業界関係者によると、世界のマテハン市場は2018年時点で約2兆8000億円(推計)。年平均で8%の成長を続けているが、新型コロナの影響で市場規模は上振れする可能性も高まっている。(黄金崎元)

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