米宇宙企業スペースXが開発した新型の有人宇宙船「クルードラゴン」が日本時間28日午前5時33分、米国の飛行士2人を乗せ、国際宇宙ステーション(ISS)に向けて打ち上げられる。米国独自の有人飛行は9年ぶりで、民間企業による宇宙飛行士の打ち上げは世界初。宇宙開発における米国の復権を世界に示せるか注目される。
ISSとの往復が無事に成功すれば、秋にも打ち上げる2号機に日本人宇宙飛行士の野口聡一さん(55)らが搭乗する。
米国は2011年にスペースシャトルを退役させた後、宇宙飛行士の輸送をロシアのソユーズ宇宙船に頼ってきた。ロシアに支払う運賃は年々上昇し、近年は1人当たり8千万ドル(約85億円)に及ぶとみられる。
独自の有人宇宙船の復活は、世界の宇宙開発を主導してきた米国にとって大きな意味を持つ。米航空宇宙局(NASA)のジム・ブライデンスタイン長官は「米国の国土から米国のロケットで、米国の飛行士を再び打ち上げる」と意義を強調した。
NASAはシャトルの後継となる新型宇宙船の開発を民間2社に委託。先行したスペースXは、NASAとの契約分だけで31億4400万ドル(約3360億円)の開発費を投じた。
クルードラゴンの初号機は米フロリダ州のケネディ宇宙センターから、同社の大型ロケット「ファルコン9」で打ち上げる。29日に高度約400キロで地球を周回するISSに到着。しばらく滞在した後に離脱し、大気圏に再突入してパラシュートを開き、フロリダ沖の大西洋に着水する。
機体は全長約8メートル、直径約4メートルのカプセル形。本来は7人乗りだが、今回はいずれも米軍のパイロット出身で、宇宙を2回経験した飛行士2人が搭乗する。