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減便、値上げ圧力 LCC窮地 座席間隔制限、乗客減など難題山積

 低運賃の空の旅できなくなる-? 新型コロナウイルスの影響で格安航空会社(LCC)のビジネスモデルが窮地に立たされている。機体の稼働時間を長くしたり搭乗率を高めたりして低運賃を実現してきたが、大幅な減便で機体の有効活用が難航。さらに感染防止策として機内の乗客数を減らせば運賃の値上げにつながりかねないためだ。

 政府の緊急事態宣言が解除され、LCCでも運航再開の動きが進む。関西空港を拠点とするピーチ・アビエーションは全面運休中の国際線に先行し、6月19日までに国内22路線を全て再開。ジェットスター・ジャパン(千葉県成田市)も成田-関西など主要路線の一部で順次運航を始める。

 両社とも乗客のマスク着用や機内の消毒といった対策を講じ、対面で行う機内販売は中止。大手の日本航空などは乗客同士の距離を保つため3人掛けなどの中間席の使用を当面制限しているが、LCCでは客単価が上がり生命線である低運賃が維持できなくなる恐れがあり、同様の対応には慎重だ。

 使用制限をしないピーチはホームページで機内の高性能な換気システムを説明し、感染リスクの低さを強調。利用者の不安払拭に努める。

 一方のジェットスターは予約時に限り中間席の指定ができないようにした。ただ担当者は「利用客が少ない今だからこそできる」と話し、一時的な対応だとしている。

 6月に予定する国内線の便数はピーチが当初計画の33%、ジェットスターは10%にとどまる。LCCは往復の折り返し時間を短くするなどして利益を生み出しており、減便下ではそれができない。関係者は「今の運航状況と客数では航空機を動かすだけで赤字だ」とこぼす。

 対策は海外のLCCでも進む。アイルランドに本拠を置く欧州大手のライアンエアは空港カウンターでの接触を避けるためオンラインチェックインを推奨。マレーシアのエアアジアは乗客の検温やマスク着用を義務付ける。厳しい移動制限が敷かれる海外では利用の落ち込みはより深刻で、パイロットや客室乗務員の削減を検討するなど経営に大きな影響を与える事態となっている。

 航空業界に詳しい神戸国際大の中村智彦教授(地域経済論)は「LCCは大量の人の移動を前提にしたビジネスモデル。しばらくは一部を貨物便に転用するなどしてしのぐしかないだろう」と指摘。「以前の需要が回復するまで相当な時間がかかる。安値で航空機に乗れた時代は過去のものになるのでは」と話した。

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【用語解説】格安航空会社

 機内サービスを簡素にしたり航空機を効率的に運航したりすることで、大手と比べて運賃を割安にした航空会社。ローコストキャリアー(LCC)と呼ばれ、欧米やアジアで普及が進む。国内ではピーチ・アビエーションが2012年3月に運航を開始したのを皮切りに、ジェットスター・ジャパンなどが参入。韓国や中国からの訪日外国人客の増加にも寄与していた。

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