トップは語る

コロナ対策、生活や精神面にも考慮

 シミックホールディングス会長・中村和男さん(73)

 --緊急事態宣言が解除された

 「パンデミック(世界的大流行)を防ぐ上で、ステイホームやロックダウン(都市封鎖)は有効だが、リスクとベネフィット(利益)を整理して議論することも大事で、社会活動を少しずつ解除していかないといけない。自宅にこもっていたら、家庭内暴力など別の問題が生じる可能性があるし、農産物の作付けなどもできない」

 --新型コロナウイルス感染症の教訓は

 「創業時から当社が大切にしている志を『CREED(クリード)』と呼んでいる。一度しかない人生を、誰もがその人らしくまっとうすることが重要との考え方だ。病気はつねに存在する。今回の問題を受けて、単に病気を治すだけでなく、生活をどう守り、人生をまっとうするかも考えないといけないと改めて感じた」

 --新型コロナの治療効果が期待される抗インフルエンザ薬『アビガン』の増産にかかわっている

 「グループ会社が静岡県の工場で生産を請け負っている。別のグループ会社では臨床試験の一部を代行し、治験が適正に実施されていることを保証する業務も受託した。開発元の富士フイルム富山化学を中心に、オールジャパンの供給体制を構築できた。医薬品の開発・製造・営業を支援する当社が過去のビジネスで培ったノウハウを活用すれば、供給体制を迅速に整えられる。縁の下の力持ちだと、改めて知っていただけたのではないか」

 --製薬業界は大きく変わろうとしている

 「かつて電子産業などで起きた水平分業化が進んでいる。大手製薬会社は(効率化のため)得意分野の新薬開発に集中する一方、特定分野の開発に特化したベンチャーが増え、当社のように開発や製造を専門的に支援する存在も充実しつつある。アビガンの増産でも分かるが、競争より協力を重視する動きが広がっていくだろう」

【プロフィル】中村和男

 なかむら・かずお 京大薬学部卒、金沢大大学院博士後期課程修了。1969年三共(現・第一三共)入社。92年シミック(現・シミックHD)社長に就任。2018年から現職。山梨県出身。

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