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研究の「対価」どう決まる 海外でも熾烈な特許権争い、過去の結末さまざま

 革新的な研究成果の対価はどう決まるのか。過去にノーベル賞を受賞した研究者の間でも、企業との交渉や司法判断などにより、その結末はさまざまだ。

 2015年に医学・生理学賞を受賞した大村智・北里大特別栄誉教授は、寄生虫による感染症治療薬「イベルメクチン」を米製薬会社との共同研究で開発し、アフリカや中南米の人々を感染症から救った。当初、製薬会社側から約3億円で特許の譲渡を求められた大村氏はこれを断り、粘り強い交渉を継続。薬の収益に応じた一定比率の対価を受け取るという形の契約にこぎつけ、200億円以上を得た。

 14年に物理学賞を受賞した中村修二氏も、特許の帰属をめぐって注目を集めた。企業内研究者として青色発光ダイオードの開発に携わり、特許権や研究成果の対価をめぐって元勤務先と訴訟合戦になった。

 1審は中村氏の訴えを全面的に認め約200億円の支払いを命じた。しかし2審では会社側の貢献度などが見直され、最終的に約8億4千万円に減額されて和解が成立。中村氏は「日本の司法は腐っている」と吐き捨てた。

 ただ中村氏の動きは、日本で議論が低調だった企業と発明者の特許をめぐる知財問題に一石を投じ、発明者が企業を訴えるケースが増加。日立製作所は平成18年、光ディスクの技術をめぐる訴訟で発明者に1億6千万円を支払うなどしている。

 特許権争いは海外でも熾烈(しれつ)だ。

 遺伝子を自在に改変できるゲノム編集技術の「クリスパー・キャス9」。米カリフォルニア大バークレー校のジェニファー・ダウドナ教授らのグループが2012年に基本的な技術を開発したと発表した。一方、ブロード研究所のフェン・チャン博士らはダウドナ教授らの仕組みを改良して人の細胞への応用に成功した。

 ゲノム編集技術はノーベル賞候補といわれ、農産物の品種改良や病気の治療の研究など、さまざまな分野での応用が期待されている。「クリスパー・キャス9」は巨額の利益を生む特許権をめぐる両者の争いとなった。

 最終的に、米特許商標庁はチャン博士らに特許権を認めた。決定を不服としてダウドナ教授側は上訴したが、米連邦高裁は「十分な証拠に基づいて決定を出した」として、特許商標庁の判断を支持している。

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