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郊外住宅が若年層に人気 在宅勤務拡大、自然や広さ重視

 新型コロナウイルスの感染拡大で都心のオフィス閉鎖や在宅勤務が広がり、若い世代の会社員の間で郊外にある住宅の人気が高まっている。高い家賃を払ってまでオフィスの近くに住む必要性が低下し、豊かな自然や家の広さが見直されている。近年は都心一極集中の傾向が続いたが、コロナ後の家探しは変化しそうだ。

 「経営環境の先行きが見えず、コスト削減のためオフィス閉鎖を決断した」-。会員制交流サイト(SNS)開発のベンチャー企業「マチマチ」(東京)の六人部生馬最高経営責任者(CEO)は話す。4月に東京都渋谷区のオフィスを引き払い、十数人の全社員が在宅勤務に移行した。

 デザイナーの山崎重則さん(39)は、通勤の便を重視し東京に隣接する神奈川県川崎市に居住するが、オフィス閉鎖を機に新たな家探しを始めた。「次は自然豊かな湘南エリアが良い」と希望を膨らませる。

 東京都が外出自粛要請を出した3月下旬以降、リクルート系の不動産情報サイト「スーモ」の閲覧数は増加。例年、春先は年初に比べて閲覧数が減少する傾向があり異例の動きだという。

 東京都内ではなく郊外物件が注目を集めているのも特徴だ。湘南エリアの神奈川県茅ケ崎市は、4月の物件閲覧数が1月と比べ約9割増と大幅に伸び、千葉市中央区も約7割増となった。

 スーモの池本洋一編集長は「自宅で快適に仕事をするため、広さや静音性が以前より重視されている」と分析する。コロナ禍で日常生活が一変し、地域コミュニティーの重要性が再認識されたことも郊外人気の追い風になっているという。

 郊外や地方の空き家に長期滞在できるサービスも関心を集める。月額4万4000円で全国50以上の物件を利用できる「アドレス」は、4月の新規登録会員数が1月と比べて約5割増えた。

 東京都内に住む20~30代の会社員の申し込みが多く、急用時にも出社しやすい千葉県習志野市の住宅などに予約が殺到しているという。これまで都心と郊外・地方を行き来する2拠点生活はシニア層が中心だったが、今後は若い世代にも広がる可能性がありそうだ。

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