中小企業へのエール

コロナで殻を破る オンラインが行動様式の中心に

 2カ月にも及ぶ新型コロナウイルス感染拡大防止による緊急事態宣言で、私たちの社会生活は大きく変わった。いわゆる「3密」を避けるため、オンライン化が一気に進んだ。教育分野では、オンライン授業が試行錯誤の中進行し、職場では時差通勤、テレワークの徹底などこれまで掛け声はかかっていても進まなかったのが嘘のように当たり前になっている。(京都先端科学大・旭川大客員教授 増山壽一)

 また、居酒屋、スポーツジム、カラオケが閉鎖されている中、オンラインの飲み会やジム、ヨガ、音楽教室が生まれている。最初はリアルにくらべて、質も内容もはるかに劣るおまけみたいなものと思っていたが、どれも「意外にイケる、楽しい、気楽、時間の無駄がない」などと好評だ。

 新型コロナがこれまでの既成概念を壊して、新しい生活スタイルを生み出す契機になっているのである。このような動きは、岩盤規制といわれ規制緩和が進んでこなかった分野を一気に変えるチャンスになる。

 例えば、補助金の申請手続き。あたかも補助金はお上からの下賜金のごとく、要件があまりにも多く、提出書類が膨大で、時間がかかるのが当たり前であった。

 しかし、今回のコロナ関連補助金は、簡素に、皆に早くをモットーにしている。紙のやり取りをせずともオンラインで完結し、必要書類や通帳の写真を添付ファイルにしてスマートフォンからの申請も可能となる。これを決して緊急事態だけの特例にさせてはいけない。

 また、“はんこ文化”。事実を証明する補助として社会通念上慣習としていまなお使われているハンコ。ただ、あくまで補助であって必要不可欠ではないのである。

 唯一法律上で印章が言及されているのは文書偽造罪で、押印があるのとないのとで罪の重さが違うことぐらいである。恐らくこれが、ハンコがあることが「よりもっともらしく見える」原因であろう。

 テレワーク推進と言いながら、ハンコを押すためだけに出社する管理職はもはや滑稽というより犯罪である。新型コロナ危機を契機にはんこ文化を見直していこう。

 医療分野では、これまで頑として医師会が認めてこなかった、初診患者のオンライン診療がようやく時限的・特例的に解禁された。病院に通うまでの感染リスクを鑑みると当然の措置である。実際に経験すると拍子抜けするほど便利で快適である。ぜひこれもコロナ後も続けてほしい。社員が病院に行くために半休しますというのもなくなることであろう。コロナは黒船襲来である。ぜひ世直しの契機としたい。

【プロフィル】増山壽一

 ますやま・としかず 東大法卒。1985年通産省(現・経産省)入省。産業政策、エネルギー政策、通商政策、地域政策などのポストを経て、2012年北海道経産局長。14年中小企業基盤整備機構筆頭理事。旭川大学客員教授。京都先端科学大客員教授。日本経済を強くしなやかにする会代表。前環境省特別参与。著書「AI(愛)ある自頭を持つ!」(産経新聞出版)。57歳。

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