高論卓説

信用力低く経済混乱で危うい商品 邦銀「ローン担保証券」保有増に警戒 (2/2ページ)

 同ルールは銀行が証券化商品を保有する場合は、証券化商品を組成した企業が自ら原資産の5%以上を保持しなければ、原則としてリスク・ウエイトが3倍に引き上げられる規制で、粗悪なCLO乱発の抑止力になっている。

 それでも市場が混乱した場合、CLOは最初にデフォルトしかねない危うい商品であることには変わりはない。日銀も4月21日公表の金融システムレポートで、「(邦銀が保有する証券化商品は)全体として質の高いポートフォリオとなっている。もっとも、債券の約40%は投資適格級の中で最も質の低いトリプルB格となっているほか、基本的に非投資適格級(ダブルB格以下)のローンを裏付けとするバンクローン・ファンドも一部で保有されている。ポートフォリオのそうした部分については、海外の景気悪化や格下げ、クレジット市場の調整の影響を受けやすいと考えられる」と警鐘を鳴らす。“アフターコロナ”を見据えたリスク管理の強化が望まれる。

【プロフィル】森岡英樹

 もりおか・ひでき ジャーナリスト。早大卒。経済紙記者、米国のコンサルタント会社アドバイザー、埼玉県芸術文化振興財団常務理事を経て2004年に独立。福岡県出身。

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