国産初のジェット旅客機スペースジェット(旧MRJ)を手掛ける三菱航空機(愛知県豊山町)は15日、開発規模の縮小と体制の刷新を正式に発表した。開発責任者の交代に加え、国内外の約2000人の従業員を半分以下に削減。海外拠点は米ワシントン州の試験拠点を除いて全て閉鎖する方針だ。
親会社の三菱重工業の業績悪化と新型コロナウイルス感染症の流行による世界的な航空機需要の落ち込みに伴い、体制を大幅に縮小し、設計の確認や飛行試験データの検証に注力する。スペースジェットはこれまでに6度、納期を延期しているが、規模の縮小で開発期間のさらなる長期化の懸念も出てきた。
最高開発責任者のアレクサンダー・ベラミー氏が6月末で退任し、米試験拠点の副センター長を務める川口泰彦氏が7月1日付でチーフエンジニアに就任、開発を主導する。今後は、川口氏の下で運航に必要な国の安全認証取得を優先する。
海外拠点は米ワシントン州の飛行試験拠点のみを残す。米ワシントン州の米国本社やカナダの開発拠点のほか、米南部テキサス州や欧州の営業拠点は閉める方向だ。
スペースジェットは当初2013年の納入を目指していたが、設計変更などでこれまで6度納期を延期し、今年2月には初号機納入を21年度以降に遅らせると表明。三菱重工は今期の開発費を前期比半分以下の約600億円に削減することを決め、三菱航空機が体制の見直しを進めていた。