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訪日客蒸発 「Go To」キャンペーン、夏休みに間に合うか

 5月の訪日客はわずか1700人だった。新型コロナウイルスの影響で訪日客は4月に続き、“蒸発”したままだ。17日、記者会見した田端浩観光庁長官は、旅行費用の半額を補助する政府の「Go To トラベル」キャンペーンにより、国内観光需要の回復を図って地域経済の復活を目指す考えを強調した。事業者からは期待の声が上がる一方、キャンペーン事務の委託枠組みが見直された結果、観光シーズンの夏休みに間に合うか危ぶむ声も上がる。(大坪玲央、岡田美月、高橋寛次)

 「8月の早い段階での開始を目指して可能な限り早く準備したい。地域経済の復活に資する事業に努めたい」。田端氏はこう述べ、キャンペーンの早期開始を目指す考えを示した。

 19日には、県境をまたぐ移動の自粛が全面解除になる見通しだが、「自由に旅行」という雰囲気を醸成するのはまだ時間がかかりそうだ。

 旅行喚起の起爆剤として期待されるキャンペーンは、旅行の半額相当を国が支援するもので、2万円程度の旅行の場合、7千円程度が交通費や宿泊代金から割り引かれ、3千円程度は旅行先の土産物店などで利用できるクーポンとして配布を受けられる。

 今後、事務を委託する事業者を審査し決定した上で、いつからの旅行が対象となるか公表する。キャンペーンは6カ月程度継続されるため、複数回の利用も可能という。

 全国各地でホテルを運営する星野リゾートの星野佳路代表は「観光分野を支援してもらえることをありがたく思う」と打ち明けた上で、「夏だけに旅行が集中してしまうと観光事業として継続的な利益につながりにくい」と指摘。継続的な旅行需要の喚起に結びつく施策に期待を示した。

 「Go To トラベル」などを含む需要喚起策「Go To キャンペーン」は令和2年度第1次補正予算に約1・7兆円が計上され、7月下旬に始まる予定だった。しかし、政府が中小企業などに支給する「持続化給付金」について、野党が、事業を受託した一般社団法人が電通に再委託していた構図を「不透明だ」と追及。その過程で、事務委託費の上限が3095億円と巨額だった同キャンペーンにも矛先が向き、国土交通省は16日、トラベル事業を委託する事務局の公募をようやく始めたばかりだ。

 中部地方の旅行会社関係者は「本当に夏休みシーズンまでに始まるのか気がかりだ」と危ぶんだ。

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