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待ちに待ったプロ野球が19日に開幕

 尚美学園大学教授・佐野慎輔

 19日は何の日か?

 もちろん待望久しいプロ野球2020年公式戦開幕日。そして、あまり人口に膾炙(かいしゃ)してはいないが、初めて野球の試合が行われた日でもある。野球の起源に諸説ある中、英国の球技ラウンダーズを元に米国で発生したタウンボールの発展形とする説が有力視されている。

 120試合に縮小

 タウンボールが親しまれていたニューヨークの銀行家、アレクサンダー・カートライトが1845年に最初の野球チーム、ニッカボッカーズを結成。4つの塁の塁間距離やファウルライン、9人という選手数、スリーアウトによる攻守交代など競技としての形を整えた。そして翌46年6月19日、ニッカボッカーズ対ニューヨーク・ナインの試合を行っている。

 ところはニュージャージー州ホーボーケンのエリジアン・フィールド。ニューヨークの中心部から車でおよそ30分の距離である。遠い昔、1度だけ訪ねた。エリジアン・フィールド跡地の公園から、ハドソン川越しにニューヨークのスカイラインを望むことができた。

 カートライトの時代から175年、野球はアメリカと日本では「ナショナル・パスタイム」と称されるほど発展。しかし2020年、新型コロナウイルスという思わぬ難敵に苦しんでいる。大リーグでは機構と選手会との年俸交渉が難航、開幕予定もたたない。プロ野球は120試合に縮小、オールスター戦を行わず、クライマックスシリーズもセは中止。パは短縮の変則日程での実施である。しかも選手や監督、コーチとスタッフ、さらに審判員もPCR検査を受けるとともに、しばらくは無観客試合が続く。

 新たな観戦スタイル

 笹川スポーツ財団では6月3日から5日まで18歳から79歳までの男女5000人を対象に、インターネットによる「新型コロナウイルスによる運動・スポーツへの影響に関する全国調査」を行った。今週には調査結果をまとめて発表、7月に報告書を公表する。その1項目として「スポーツ観戦再開に向けてイベント主催者に期待する対策」を聞いている。

 期待する対策としては「アルコール消毒設備の設置やスタッフのマスク着用、室内の喚起」が31.8%と最も高く、以下「人と人との間隔を確保するための入場者数の制限や誘導」(24.6%)「来場者へマスク着用を呼び掛けるなど、感染防止のための注意喚起」(18.0%)と続く。性別、年代別でみると男女とも若年層ほど「アルコール消毒設備」「マスク着用」対策を求め、プロ野球ファンの中核である40代以上の男女が「今後しばらくはスタジアムや競技場での観戦を控える」割合が多いことが分かった。

 調査にあたった笹川スポーツ財団の鈴木貴大政策オフィサーはこう指摘する。「イベント主催者は今後の観戦再開に向けてさまざまな感染拡大の防止策を講じる必要がある。新型コロナの影響で大きな変化が予測される社会において、観戦者数を増加させ、スポーツの魅力をより多くの人に伝えるためには新しい観戦スタイルの構築が求められるだろう」

 緊急事態宣言解除後も、生活の新様式としてマスク着用や手洗いうがいの励行、テレワークが求められている。プロ野球でも新しい楽しみ方として衛星多チャンネル放送やインターネット中継の充実が喧伝(けんでん)される。またDeNAがオンライン会議システム「Zoom」を使った観戦システムを実施するなど、新しい動きも出始めている。

 新たな試みを注目しつつ、しかし、本音は一日も早いスタジアム観戦にある。ファンや選手はもちろん、球団にとっては依然スタジアム観戦、観客動員こそ経営の屋台骨なのだから…。

【プロフィル】佐野慎輔

 さの・しんすけ 1954年富山県高岡市生まれ。早大卒。サンケイスポーツ代表、産経新聞編集局次長兼運動部長などを経て産経新聞客員論説委員。笹川スポーツ財団理事・上席特別研究員、日本オリンピックアカデミー理事、早大および立教大兼任講師などを務める。専門はスポーツメディア論、スポーツ政策とスポーツ史。著書に『嘉納治五郎』『中村裕』『スポーツと地方創生』(共著)など多数。

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