経済インサイド

改正外為法の全面適用直前に「安全保障」銘柄の突如見直し 選定基準に疑問 (2/2ページ)

 拙速な選定判断

 今回の見直しでは、こうした疑問が指摘された点をある程度修正し、反映したようだ。実際、当初はコア業種に選ばれていなかった日産やマツダ、三菱自動車といった大手自動車メーカーはすべてコア業種に含まれた。パナソニックやニコンなど電機や機械のほか、JFEHDや信越化学工業といった素材メーカーなど新たに51社が追加された。

 一方で、タマホームやフランスベッドHDなど、安保との関連性が薄いとされた11社がコア業種から除外された。財務省によると、「新たに69社からのアンケート回答などを考慮した」というが、極楽湯HDや出前館といった企業はリストに残ったままだ。

 この結果、コア業種は518社から558社に拡大。全上場企業の約15%にあたり、出資の事後報告などを求める指定企業約1600社も含めれば“安保銘柄”は約6割にものぼる。

 該当企業が膨れ上がったのは、安保銘柄を特定されにくいよう、経済団体が財務省にリストアップ企業を増やすように働きかけた結果と見る向きもある。その選定作業について、中部大の細川昌彦特任教授は「相当いい加減だ」と批判する。

 財務省が3月から4月にかけて実施した2~3問の簡単なアンケートと企業の定款、有価証券報告書だけでは「その企業がコア業種に関わっているかどうかの正確な判断はできない」というのが細川氏の見立てだ。さらに、「アンケートでは、外資参入を避けたい企業が恣意(しい)的な回答を提出することもできる」という問題点を指摘。「外資規制を強化する欧米もこのようなリストは作っておらず、リストを作ること自体が問題だ」と切り捨てる。

 安保銘柄の線引きを求める外国人投資家の要望を受けて作成されたこのリストについて、財務省は今後も定期的に見直す方針を示す。だが、その時期や方法の詳細は明かしていない。

 新型コロナの感染拡大で海外依存の高さが明らかになった医薬品や医療機器は、年内にもコア業種に追加される。選定方法で腑に落ちない点は残ったままで、見直しについて議論を呼びそうだ。(西村利也)

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