リーダーの視点 鶴田東洋彦が聞く

大豊建設・大隅健一社長(2-2) 「貫通しないトンネルはない」いつも胸に

 --「技術の大豊」を背負ってきた

 「最初の現場は東京都葛飾区で、東京都下水道局の仕事だった。周辺の地層は『墨田砂層』といって非常に細かい粒子の砂の層で水が出やすい。このため、工期も金額も通常の2倍かかった。試行錯誤の連続で非常に勉強になった」

 --現場での一番の思い出は

 「約26年間は土木の現場でシールド工事を手掛けた。一番の思い出は、担当した最後の現場となった東京・芝浦の東京都下水道局の仕事。地下約25メートルにある『東京礫層(れきそう)』を掘削する工事で、非常に堅い地層のため掘削機械が故障してしまうほど大変苦労した。継続工事も含め4年かかったが、脳裏には『本当に最後までできるのか』と不安があった」

 「そのとき、現場の協力会社の職長から『世界中でいろいろなトンネルを掘ってきたが、いまだかつて貫通しなかったトンネルはないから心配するな』と励まされた。この言葉を聞いて、何となく気持ちが楽になった。この工事が無事故で完了したときが一番うれしかった。確かに途中で工事を止めるトンネルはなく、必ず貫通する。この経験を生かし、若手に『貫通しないトンネルはない』と言い続けている。貫通したときの達成感はものすごい。その場にいる発注者や当社職員、協力会社など関係者は互いに手を取り合い、肩をたたき合って喜びを分かち合って、それまでの苦労をねぎらった」

 --ところで趣味は

 「ゴルフは好き。ガーデニングも楽しんでいる。自宅マンションの1階ベランダで杏やサクランボ、ゆず、いちじくなどの果実の樹木を育てており、実った果実でジャムを作ることが楽しみだ。樹木にはよく虫がつくが、まめに手入れし、手間をかけることを惜しまない。草むしりも庭に限らず、ボランティアで自宅に隣接する土手の草むしりも手伝う」

 --料理も得意と聞く

 「かつての海釣り好きの仲間が魚を届けるので、見よう見まねで包丁さばきを覚え、マイ包丁を買った。しめサバやアジのたたきは得意で、時にはヒラメやワラサ(ブリ)も調理する。東北支店長(仙台市)時代の約10年間、単身寮生活で休日になると仙台駅近くの朝市に行って新鮮な魚を買い、自慢のマイ包丁で魚を三枚におろした」

 「寮の単身者や若手技術者に逸品料理を振る舞いながら一杯やるのが好きで、和気あいあいの語らいの時間を大切にしてきた。社長になった今でも社員の苦労をねぎらうため、自分の目で選んだ日本酒を社員の杯に注いでいる」

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