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新型コロナ後もサプライチェーンから外せない中国 主導権はどこが持つ (1/2ページ)

 【粂博之の経済ノート】

 新型コロナウイルスは、中国湖北省武漢市から経済的な打撃とともにあっという間に世界に広がった。企業のサプライチェーン(供給網)を基盤に、各国経済の結びつきがかつてないほど強くなっていたためだ。「行き過ぎたグローバリズム」を見直そうとの機運が高まる中、日本では「中国依存があだになった」との指摘もある。だが、実際問題としてサプライチェーンに中国をとどめておかないと、成長どころか回復もおぼつかないだろう。コロナ後、中国の影響力はさらに増しているかもしれない。

 量も質も中国

 帝国データバンクの調査によれば、中国(香港、アモイを除く)に進出している日本企業は今年1月時点で1万3646社。前年より39社少なく、最も多かった2012年と比べると748社減少している。人件費の上昇などで、東南アジアを中心に生産拠点を移す動きが背景にある。

 ただ、新規の大型投資も実行、計画されており「日本と中国との間で強固でかつ複雑なサプライチェーンが引き続き構築」されていると帝国データバンクは指摘する。

 「海外工場なら、やっぱり中国。ベトナムなどとは質が違う」と大阪市で雑貨を企画販売する企業の経営者は言う。「製造現場の熟練度を考えると中国は外せない」

 中国と輸出入を行う日本企業は延べ2万社にのぼるといい、進出企業と合わせて3万社超が中国とビジネスを展開している計算だ。

 変更する計画なし

 各国が保護主義に流れ貿易は縮小、景気は後退する-。有識者らがコロナ後の世界経済を展望したときによく語るシナリオだ。では、経済の現場で日本企業はどう動いているのか。

 「今後の中国湖北省でのビジネス方針」を、日本貿易振興機構(ジェトロ)が同省に進出している日本企業に聞いている。5月11~18日にアンケートを実施し、83社が回答。このうち「規模を拡大する」としたのは20%、「当面(1~2年程度)変更する計画なし」が72%だった。

 大部分は様子見といったところだが、ジェトロは「否定的な回答がほぼ見られなかった」としている。

 上海発の共同通信によると、武漢市から一時帰国していた自動車関連企業の日本人駐在員ら約140人が5月27日、現地の日系企業がチャーターした飛行機で同市に戻った。現地での生産活動の再開を加速させたい中国当局が、駐在員らの入国を認めたという。

 少なくとも短期的には以前の状態に戻る構えで中国も歩調を合わせている。

 コロナ後の主導権は

 コロナ前から、行き過ぎたグローバリズムが格差を拡大したとの批判が高まっていた。それが自国第一主義や大衆迎合主義(ポピュリズム)を呼び、いずれ経済のブロック化に行き着くとの懸念も強まっていた。

 第二次世界大戦は、経済のブロック化、貿易の縮小による各国経済の行き詰まりが一因となったとされる。こうした流れにブレーキをかけられるものがあるとすれば、企業が築き上げたサプライチェーンだろう。

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