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原発再稼働など代替電源確保不可欠 政府の石炭火力削減方針

 政府は非効率な石炭火力発電の削減を打ち出したが、石炭火力全般を否定したわけではなく、高効率設備は活用していく方針だ。国際社会の要請で地球温暖化対策の強化を迫られる中、電力の安定供給とのバランスを取った格好で、全廃路線の欧州などとは一線を画す。もっとも、海外からの石炭火力への視線は厳しく、政府には丁寧な説明が求められる。太陽光や風力など再生可能エネルギーの普及や原発の再稼働を進めるなど、代替電源による供給力確保も重要だ。

 経済産業省が石炭火力発電の抑制にこれまでより踏み込んだ背景には、今世紀後半に世界の温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを目指す「パリ協定」に基づく取り組みが求められ、二酸化炭素(CO2)の排出量が多い日本に海外から見直しの“圧力”が強まっていることがある。

 多くのCO2を出す石炭火力をめぐっては、英国が2010(平成22)年に28%だった構成比を25年までにゼロにすることを目指している。フランスは22年までに、ドイツも38年までに廃止する方針をそれぞれ掲げている。

 一方、日本では平成23年の東京電力福島第1原子力発電所の事故で稼働が止まった原発の代わりに、石炭火力の存在感が増した。燃料となる石炭の価格が原油や天然ガスと比べても安いうえ、資源の偏在が少なく世界各地で産出されるため、安定して調達できるからだ。

 梶山弘志経産相は3日の会見で「電源のベストミックス(最適な組み合わせ)が重要で、一つ一つの電源を放棄できない」と述べた。経産省によると、全体の電源構成に占める高効率石炭火力の割合は30年度で13%だが、今後、建設中の発電所が稼働すれば20%に高まるという。

 石炭火力削減の具体策を議論する有識者会議では、再エネの事業者が送電網を優先的に利用できるようにルールを見直すことも検討し、普及を後押しする。政府は再エネを主力電源化する方針だが、天候に左右されるなどの欠点があり、蓄電池の活用などで安定化を進める必要がある。

 一方、再稼働している原発は9基にとどまっている。このほか審査中の原発が11基、審査合格後の地元了解が必要な原発が7基あるが、いずれも具体的な再稼働のめどは立っていない。令和12年度の原発の発電比率は20~22%に設定されており、足元の6%との乖離(かいり)は大きい。石炭火力の比率引き下げだけが実現し、再エネや原発の比率が計画に届かなければ、電力需給の逼迫(逼迫)につながりかねない。(高橋寛次、飯田耕司)

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