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京のこだわり「伝統は法律より厳しい」 八ツ橋創業年訴訟は続く (2/2ページ)

 歴史の重み知るがゆえに…

 判決を受け、井筒の元社長、6代目津田佐兵衛氏(96)は「伝統の重要性は法律よりもっと厳しい」と反発。井筒側の代理人も、こう強調した。

 「伝統の重要性は国や地域によって違う。この問題は、京都の人にしか分からない」

 実は国際日本文化研究センターの井上章一所長の著書『京都まみれ』に、この言葉を裏付ける表現がある。井上氏は今回の訴訟に言及した上で、こんな書き方をしている。

 「(東京では)店の来歴も、京都ほどには訴求力をもたないということか。八ツ橋をめぐるいさかいも、こちら(東京)の人にはわかってもらいにくいゆえんである」

 民間情報会社「帝国データバンク」によると、京都府は平成31年1月時点で、100年以上の歴史を持つ老舗企業の割合が全国で最も高い自治体となっている。令和2年中に創業の「周年記念」を迎える企業のうち、150周年以上の企業数は東京都と並んで全国1位だ。八ツ橋をめぐる争いは、歴史を重要視する京都人特有の価値観によるものともいえる。

 井筒側の控訴により、舞台は大阪高裁に移った。創業年をめぐる争いに決着がつくのは、もう少し先の話になりそうだ。

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