和歌山市舟大工町のビール醸造所オリゼーブルーイングはビールの主原料である麦芽の代わりに、自家製の麦麹を使った発泡酒「オリゼーペールエール」を販売している。麦麹を使ったビール類は例がないといい、しょうゆやみそ、日本酒を造る仕事をしてきた代表、木下伸之さん(41)が「麹に携わった経験や知識を生かそう」と挑戦した。
麦麹と蒸し麦、湯を混ぜて甘酒を造り、濾過(ろか)した液にホップを投入。冷やして酵母を加えて1週間ほど発酵させ、さらに2、3週間熟成させる。
苦味は少なく、フルーティーでまろやかな味わいに仕上がった。330ミリリットル瓶550円で昨年7月から販売を開始し、同10月に長野県で開かれたビール審査会「インターナショナル・ビアカップ」で入賞した。和歌山市や関東の飲食店に出荷し「和食のうま味によく合う」と好評だ。
木下さんは大学卒業後、和歌山県湯浅町のしょうゆ会社で勤務。熊本県のみそ蔵や福岡県の酒蔵で働いたこともある。30代半ばだった2014年に地元に戻り「新しいジャンルのビールを造りたい」と思い立った。「さまざまな原材料と麹を合わせ、誰も飲んだことのないビールをどんどん造りたい」とさらに意欲を見せている。