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林業の魅力を宮崎で発信 兄弟で奮闘、特産品ネット販売など多角化

 スギ丸太の生産量日本一を誇る宮崎県の美郷町渡川地区で生まれ育ち、山村暮らしや林業従事者「山師」の魅力を都会の人たちに伝えようと奮闘している兄弟がいる。林業に従事する弟の今西猛さん(37)と、宮崎市でカフェを営む兄の正さん(41)。いずれも一度は県外で就職し、Uターンした。2人は「山と街をつなぐ」ことで交流人口を増やし、持続可能な地域とする未来を描く。

 「50年後のことを想像しながら、木を植えていく。スケールが大きくてロマンがあるのが、林業の魅力です」。猛さんは6月上旬、自分たちが植えたスギの苗木を満足げに見下ろし、伐採期を見据えてそう熱を込めた。

 13年ほど前、保育士として働いていた福岡市から、人口約300人の渡川に戻った。「山師の平均年齢が60歳ぐらいで、10年後には山を守っていく人がいなくなるという危機感があった」。家業の林業を継ぎ、地元特産品のインターネット販売を開始。2016年には、当時まだ珍しかった体験イベントと販売をセットにした原木シイタケのオーナー制度も始めた。

 多角化の狙いを「本当は木を植えたり切ったりするだけで生活したいけれど、このままだと林業従事者が減っていくばかり。なんとか仲間を増やしたかった」と説明。県によると、1995年に約4200人いた県内の林業人口は、2015年には約2200人と、20年間でほぼ半減した。

 17年には、宮崎市中心部に美郷町産品などの直売所を備えたカフェ「若草HUTTE(ヒュッテ)」をオープンし、正さんが切り盛りする。福岡市のアパレル会社などに勤めたが、猛さんの誘いもあり5年前に帰ってきた。都会の暮らしは充実していたが「一度外に出た自分だからこそ、できることがあるはず」。

 カフェではシカ肉やシイタケの料理を提供し、山の文化をさりげなく伝える工夫をしている。「あまり押しつけがましくならないように、まずは山のことを知ってもらう場所になればいい」と気負いはない。

 来店をきっかけに渡川に足を運んだり、林業を志したりする人たちも出てきたという。「林業のことを誰も知らないことが課題だった。ここが山への入り口になればいい」と正さん。猛さんも「ゴールは、地域を100年後も持続させていくこと。そのために山と街をつなぐのが、僕らの役割」と意気込んでいる。

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