中小企業へのエール

事業継続か転業支援か 努力しても長続きできない現状直視を

 今回の新型コロナウイルス騒動で、日本政府は大盤振る舞いの補正予算を2度にわたって組み、中小・小規模事業者の「事業の継続」を支援している。具体的には、売り上げが昨年に比べて瞬間風速的に半分以下に落ち込んだ事業者に、上限100万円または200万円を支給する「持続化給付金」や、売り上げの大幅な減少に苦しむ飲食店などのテナントを救済するための「家賃支援給付金」などが整備されている。(京都先端科学大・旭川大客員教授 増山壽一)

 大幅な売り上げ減に苦しむ中小・小規模事業者にとってはまさに慈雨である。政府のやることであるので、建前が大事であることに配慮しても、ぜひこの給付金を手に入れた中小・小規模事業者は、事業の単純な「継続」だけではなく、この際、廃業あるいは転業を真剣に検討すべきである。全国の商工会、商工会議所などで経営指導をされている方もこの点を真剣に考えてほしい。

 新型コロナで苦しむ中小・小規模事業者の中には、実はその前から事業に限界が見えてきたが、地方の金融機関の融資姿勢の緩和や、たまたまのインバウンドの増加などで一息ついていたという事業が存在する。本来は事業の大幅な見直しが必要であったにもかかわらず、放置していたのである。

 残念ながら、今年初めまでは多くのインバウンドが期待できていた分野も、向こう数年間は期待することができないであろう。またマイナス金利と新たなフィンテックなどとの競争激化で経営がますます厳しくなっている金融機関の融資姿勢も未来永劫(えいごう)に甘いままということもない。そうすると、政府のいう事業継続の要請だけを額面通り受け取り、歯を食いしばって頑張って継続努力をしても早晩長続きしない。国からの給付金に色はついていない。ぜひこの資金を使って、事業の大胆な転換、いったん廃業して再起の時期を待つなどをも真剣に検討すべきではないか。またそのための経営指導なども、金融機関や経営指導機関などは総力を挙げるべきである。

【プロフィル】増山壽一

 ますやま・としかず 東大法卒。1985年通産省(現・経産省)入省。産業政策、エネルギー政策、通商政策、地域政策などのポストを経て、2012年北海道経産局長。14年中小企業基盤整備機構筆頭理事。旭川大学客員教授。京都先端科学大客員教授。日本経済を強くしなやかにする会代表。前環境省特別参与。著書「AI(愛)ある自頭を持つ!」(産経新聞出版)。57歳。

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