ドイツ本社頼みの資金繰りに限界
▼ポーゲンポールジャパン ポーゲンポールジャパンは6月1日までに事業を停止し、破産申請を弁護士に一任した。
同社は、ドイツに拠点を置く高級キッチンブランド「ポーゲンポール」の日本代理店として都内に店舗を展開していた。2015年12月期には売上高約1億4000万円を計上。その後は減収傾向にあったが、売上高1億円を維持する規模で推移していた。
しかし設立以降、赤字決算が常態化しており、ドイツ本社からの借り入れによって事業を継続してきた。こうした中、今年に入り、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、ドイツ本社のポーゲンポールが経営破綻。日本国内でも3月下旬以降、外出自粛要請などによって店舗での営業活動を休止せざるを得なくなった。また、ドイツ本社からの支援が受けられなくなったことによって資金繰りも限界に達し、今回の措置となった。
なお、ドイツではスポンサーの下でポーゲンポールブランド製品の製造を継続しており、日本国内ではアクタス(東京都新宿区)が販売を継続する。
▼如月マネジメント 合同会社の如月マネジメントは7月8日、東京地裁から破産開始決定を受けた。
同社は不動産業を手掛け、一時は東証2部上場で不動産業のアルデプロ(東京都新宿区)の主要取引先として、同社から2018年7月期中に約17億円の不動産を取得。さらに同時期に如月マネジメントはmaneoマーケット(同千代田区)が手掛けるソーシャルレンディングを経由して約20億円を調達していた。
しかし、18年5月にはソーシャルレンディング会社への返済が遅延。ソーシャルレンディング会社が担保を設定した一部不動産については同月、所有権が移った。同年12月には担保不動産の競売開始決定が出るなどし、動向が注目されていた。
【会社概要】ポーゲンポールジャパン
▽本社=東京都港区
▽設立=2009年2月
▽資本金=1000万円
▽負債額=精査中
【会社概要】如月マネジメント
▽本社=東京都台東区
▽設立=2017年7月
▽資本金=10万円
▽負債額=精査中
〈チェックポイント〉
ポーゲンポールジャパンはドイツ企業の日本法人の位置付けだった。世界で猛威を振るう新型コロナウイルスの影響を受け、知名度が高い海外企業の破綻も相次ぎ、余波は日本で展開する事業に及んでいる。同じ外資系企業でも資金を独自調達しているか、本国からの供給に依存した経営かどうかで明暗が分かれている。
如月マネジメントはソーシャルレンディングを経由した資金調達を図ったが、調達後に早晩返済が滞り、投資家らに被害が広がった。不特定多数から資金を集めるソーシャルレンディングは、企業の新たな資金調達手段として可能性を秘めている。だが、それゆえに厳格な運用と透明性の担保が不可欠でもある。(東京商工リサーチ常務情報本部長・友田信男)