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香港脱出へハイテク企業も本格化 国安法施行でリスク懸念増大

 香港国家安全維持法(国安法)制定を機に、現地のハイテク企業の間にも香港脱出を目指す動きが本格化している。

 当局によるインターネット上の取り締まりの権限が大幅に拡大したことから、現地起業家の元には、データやネットサービス運営への影響を懸念する海外の顧客や業者からの問い合わせが殺到。多くの起業家は緊急時対応策を準備するとともに、香港から離れる形で事業再編を進めている。中でも動きの速いベンチャー企業は社員とデータを移転する計画を立てたり、既に実行に移したりしている。

 同じ不確実性に直面しているフェイスブックやツイッター、アルファベット傘下のグーグルなどの大手IT企業もこれらベンチャー企業に続く可能性がある。こうしたIT大手は国安法の影響を慎重に分析しているところだが、米国商業会議所の調査によると、香港に進出している米企業の一部が移転を計画しており、センチメントは悪化している。

 香港のソフトウエア会社Ourskyの共同創設者、鄭斌彬氏は「われわれは現在、ジレンマに直面している。香港の法に従えば、他国の規制に反する可能性がある。香港の会社だと言うと信頼されなくなる日が来るのではないかと懸念している」と明かし、国安法が施行されて間もない中でも、香港の会社とは仕事ができないとして一部の外資系クラウドサービス・プロバイダーから協力を断られることがあったと述べた。

 このため同社は約1年以内に英国にオフィスを設け、その後に日本に進出する計画という。

 香港は近年、国際金融センターとして、フィンテック起業家にとって魅力的な場所に成長した。深センや粤港澳大湾区に近接する地の利を生かし、研究開発における新興企業と中国の大学間の連携を育んできた。

 ストラクチャー・リサーチのデータによれば、2023年までに香港のデータセンターの売上高は17億ドル(約1824億円)に達すると見込まれ、これは昨年サーバー市場が14億ドルの利益をもたらしたシンガポールに匹敵する水準だ。だが、国安法施行で香港のハイテク産業をめぐる状況は一変した。

 国安法に基づき、警察は国家安全保障を脅かすと見なされるネット上のコンテンツの削除やアクセス制限を命じることができるため、データを扱うハイテク企業は特に大きな影響を受ける。命令に従わなければ10万香港ドル(約138万円)の罰金と6カ月の禁錮刑を科される可能性がある。

 香港立法会のチャールズ・モク議員は「こうした条項によりハイテク企業は極めて大きなリスクと不利益にさらされている。不確実性を望まず、安全を欲するなら恐らく香港を離れる必要があろう」と語った。(ブルームバーグ Felix Tam)

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