□ホールマーケティングコンサルタント LOGOSプロジェクト上級研究員・岸本正一
4月1日からパチンコホールも喫煙所を除き全館禁煙となったのは周知の通りだ。愛煙家のパチンコ・パチスロプレーヤーは遊技の合間に店内の喫煙ブースでたばこを楽しむことになったのだが、大型店では店内の数カ所に喫煙ブースを設けており、それほど不自由さは感じられない。
世間では新型コロナウイルスの感染再拡大が懸念される中、パチンコホールの感染防止対策の最新状況を確認するために都市部繁華街の数店舗に赴いた。どの店舗も入り口に消毒用スプレーを配置し、感染防止対策への協力を促す案内ポスターを掲示。取り組みに余念がないことがうかがえたが、この期に及んで筆者が感じたのは意外にも「空気」の良さだ。
たばこの匂いがしないことから、微香性のフレグランスや次亜塩素酸の空気清浄機の存在を感じ取ることができ、ここが管理された空間であるとの印象を受けた。遊技台と遊技台の間には飛沫(ひまつ)感染防止用の仕切りが設けられ、空席の遊技機には「消毒済」のプレートが置かれている。その光景を見ながら店内の「空気」を感じていると、4月1日からのパチンコホールの禁煙化が大きな価値を発揮しているように思えた。
仮に健康増進法の改正が行われず、新型コロナウイルス感染拡大の中、現在もなおパチンコホールで喫煙しながら遊ぶことができたとすればどうだろうか。パチンコホールの換気能力の高さを知っている筆者であっても、少々出向くことに抵抗感を覚えたかもしれない。一般の人ならなおさらだ。たばこの煙と匂いが新型コロナウイルスの感染に影響を与えるというわけではないのだろうが、「何もこの時期にあれほど空気の悪いところに行かなくても」と思う人はきっと多かったに違いない。
まだ稼働率は前年同月比で大きく落ち込んでいるが、パチンコホールの喫煙環境が4月1日を境に激変したことが、新型コロナウイルス感染再拡大の中、各ホールの感染症対策をより実感させてくれることとなった。
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【プロフィル】岸本正一
きしもと・しょういち 1963年生まれ。元SEの経験を生かし、遊技場の集客メカニズムを論理的に整理・研究する傍ら、全国のパチンコホールを対象にコンサルティングを行う。雑誌への連載やテキストの出版、セミナーでの講演なども手掛ける。オベーション代表。