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航空2社、成長の柱は国内線も黒字化の時期は見通せず

 日本航空は2020年4~6月期連結決算(国際会計基準)で、経営破綻前の09年4~6月期に匹敵する巨額の最終赤字を計上した。日航は破綻後、「リーマン・ショック級の経営危機にも対応できる」(幹部)手元資金を確保してきたが、新型コロナウイルスによる旅客収入の激減は想定を大きく上回った。日航はANAホールディングス(HD)と同様、国際線のビジネス需要を成長の柱としてきたが国際線は21年3月末時点でも前年度比10~20%程度の回復しか見込めないとみている。両社とも、より回復の早い国内線や格安航空会社(LCC)を牽引(けんいん)役とする考えだが、黒字化の時期は見通せない。

 「まだ甘かったのかという思いだ」

 3日に会見した日航の菊山英樹専務は厳しい表情でこう語った。同社は10年前の経営破綻後、国際線の拡大路線を抑制し現預金を売上高の2.6カ月分確保するなど規律を持った経営を意識してきた。破綻後、公的資金注入を受けたこともあり、自己資本比率の割合は6月末時点で約46%と、約34%のANAHDよりも高い健全性を維持、「国内会計基準だと54%程度だ」(幹部)と強調する。

 ただ、それでも新型コロナの減収の影響は吸収しきれなかった。国際線の旅客収入は前年同期比98%減、国内線も85%減とほぼ需要は蒸発したといえる状況だ。国内線は年度末までに55~65%程度、国際線は10~20%程度しか戻らない見通しだ。

 今後、日航は年度末までに人件費や広告宣伝費など計900億円のコスト削減を図る考え。さらに投資計画も航空機投資を300億円抑制することで、800億円を確保する。より経営規模が大きく最終赤字の金額も過去最大だったANAHDもコスト削減を最優先する。短期的には減便による変動費の削減や役員報酬、夏季一時金の削減を行い、年度内に2500億円余りを削減する考えだ。

 両社は経営の規模や手元資金の状況などは違うが、今後、強化していくのが国内線というのは共通している。両社とも年度末までに、新型コロナでビジネス需要が特に減少する見通しであることを受けて、国際線や国内線の再編計画を発表する方針だ。菊山氏は「ビジネス需要の回復は楽観的に見ていない。(旅行と仕事を両立する)ワーケーションの拡大などを努力したい」と述べた。(大坪玲央)

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