金融

「割り勘型」保険で初の支払い がん診断、後払い制で分かりやすく

 保険料を契約者全員で賄う割り勘型の保険により、がんと診断された人に国内で初めて保険金が支払われたことが分かった。事前に保険料を支払う一般的な保険と異なり保険料を後払いするのが特徴。保険料の行方が分かりやすく、国民の2人に1人ががんになると言われる時代に関心を集めそうだ。

 1月に販売を開始した保険ベンチャー企業のジャストインケース(東京)の「わりかん保険」は、がんと診断された場合に一律80万円を支払う。支払いのあった保険金の合計額に会社側の収益となる管理費を加えた金額を、診断を受けた本人と同じ年齢ゾーンの残りの契約者が均等割で月ごとに後払いする仕組み。患者が出ない月は保険料の支払いも発生しない。

 がん患者が想定以上に多く、支払いが膨らんだ場合に備えて年齢別に保険料に上限を設けており、20~39歳は500円、40~54歳は990円、55~74歳は3190円。

 今回、保険金を受け取ったのは40~54歳のゾーンに入る女性1人で、契約者約860人で割り勘した。80万円の保険金を人数割りすると約1400円だが、このゾーンにある契約者の上限の990円で済んだ。

 通常の保険は、年齢や性別に応じて病気になるリスクを計算し、保険料を前払いする。保険会社は集めた保険料を運用して資金を増やしながら、保険金を支払う。病気や死亡する人が想定より多いか少ないかで保険会社の利益が増減する。

 ただ多くの場合、手数料や経費が開示されないため、保険会社が利益を得すぎていないか、契約者は確かめる手だてがない。

 ジャストインケースの畑加寿也代表取締役は「保険料の使い道を透明化する点が従来の保険との大きな違いだ」と語る。

 割り勘型の保険で先行するのは中国。電子商取引最大手アリババグループ傘下の金融会社が手掛ける「相互宝」は、18年10月の発売から1年間で1億人以上が契約した。

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