働き方新時代 識者に聞く

コロナ機に軽く10年進んだ働き方

 経済同友会副代表幹事・間下直晃氏に聞く

 経済同友会は「ウイズ/アフターコロナ・イニシアティブ」を設置し、日本の将来に向けた議論を始める。同イニシアティブの世話人を務める間下直晃副代表幹事(ブイキューブ社長CEO)にその狙いや、働き方改革について聞いた。

 --「ウイズ/アフターコロナ・イニシアティブ」とは

 「桜田謙悟代表幹事が6月の通常総会で提唱した。労働組合、アカデミア、マスメディア、政治、行政、NPO(非営利法人)などあらゆるステークホルダーによる自由闊達(かったつ)な議論を通じて、日本の将来に向けた論点や選択肢を提示する会議体を創設するというものだ。経済同友会の夏季セミナーを今年も9月10、11日に開催する予定なので、まずはそこでトライアル的に始めようと思う」

 「コロナを大きな契機として、日本の将来を考えると、戦後から積み上がってきたさまざまな利害関係やしがらみが複雑に絡み合い、既存の政策決定プロセスだけでは世の中がうまく回っていかない、変化にもついていけないという状況がある。今後の課題に向けた社会的なうねりを出していけたらと考えている」

 --コロナ禍で働き方も変わってきている

 「劇的に変わった。日本は戦後ずっと高成長時代の成功体験にとらわれ、工場法に起源を持つ労働法制や働き方のまま来てしまっていた。足元はどんどん変化しているのに、スタートアップやベンチャー企業は別にして、大半の企業は変わるべきだと思いつつ、変えられない状況が続いてきた。それがコロナによって大きく動き始めた。軽く10年は進んだという印象だ」

 「これを機にテレワークを本格的に導入していこうという話が非常に増えており、大きく文化が変わる感じがする。押印文化や労働基準法などの課題も浮き彫りになり、日本の生産性や働く人の働きがいなどの多様な観点から意見が出てきた。働き方改革を考える良いきっかけになっている」

 --テレワークの定着は社会を変える可能性もある

 「リソース(ヒト、モノ、カネ)というものは偏在するものなので、仕事はどうしてもリソースのある場所にヒモづけられがちだった。テレワークによって場所を選ぶ自由度がかなり上がる。まさに東京一極集中の是正につながると期待できる。一方で、リアルに人と会うことの価値も見直されると思う」

 --労働基準法の改正なども必要になる

 「午後10時から午前5時までの深夜労働には割増賃金の支払いが義務づけられているが、育児や介護中の人など、テレワークの場合はむしろその時間帯に働いた方が都合のいい人がいる。1日8時間以内の労働時間をどの時間帯にするかは本人が選べるようにすべきだ」(随時掲載)

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