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大阪「総合取引所化」から2週間 関西地元証券、動き鈍く

 日本取引所グループ(JPX)傘下の大阪取引所が貴金属、ゴムなどの商品先物の取り扱いを始め、金融分野のデリバティブ(金融派生商品)と商品先物を一元的に扱う国内初の総合取引所へ生まれ変わって、10日で2週間となる。だが地元関西の証券会社の動きは鈍く、個人投資家を呼び込む動きは盛り上がらない。ニーズがあるのか見極められないことが理由のようだ。(岡本祐大)

 商品先物が東京商品取引所から移管された7月27日、大阪取引所の山道裕己社長は会見で「取引量を2、3年のうちに2倍くらいにしたい。それで満足することなくさらに伸ばしていきたい」と語った。

 カギとなる一つは、個人投資家を呼び込み、取引の裾野を広げることだ。

 移管されたのは金や大豆、ゴムなどの商品先物14品。投資家は商品先物と、株価指数などを対象とした金融デリバティブを同じ口座で取引できるようになった。値動きの異なる両者を組み合わせた売買などが可能となり便利になった。

 東商取と大阪取引所は根拠法が違うため、これまで投資家は、東商取の商品先物と大阪取引所の金融デリバティブを別の口座で取引しなければならなかった。

 今後、取引ニーズが高まるとみて、動く地元関西の証券会社も出てきた。

 光世証券は移管に合わせ、個人投資家向けに金先物の取り扱いをスタート。石川卓也取締役は「顧客に提案できる選択肢を増やしたかった。一般投資家からの相談は想定以上に多い」とし、貴金属先物全般への拡大を視野に入れる。岩井コスモ証券も金先物などへの参入を検討している。

 ただ、先物は一般の人のなじみが薄いため、大半の地元証券は「本当に顧客からの需要があるのか」と慎重だ。エース証券の大坪三記常務執行役員は「取引したいという顧客の声はほぼない。当面は様子見する」と話す。

 内藤証券も「(商品先物への)参入にはかなりのコストが予想され、見合うニーズがあるか分からない」と指摘。参入には、数億円かかる場合もあるシステム改修などが必要となる。

 「一般投資家には『商品先物は危ない』というイメージが根強い」(証券会社幹部)との声も多い。参入を見送った光証券の森中寛社長は「金先物の価格メカニズムは複雑で予想が難しい。顧客の安心した資産形成を考えれば販売は現時点では難しい」としている。

 商品先物取引 原油や農産品などの商品を、将来の決められた期日に売ったり買ったりすることを約束し、その価格を現時点で決める取引。原材料や商品の極端な価格変動を回避したい企業や利益狙いの投資家が参加している。少額の資金で取引を始められるが、世界の政治情勢などに敏感に反応して価格変動が大きい商品もあり、ハイリスク・ハイリターンとされる。

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