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「こどもホスピス」全国に広がる 病児や家族を支援、横浜で来夏にも開所

 命に関わる重い病気や障害のある子供と家族が、楽しい思い出をつくったり夢を育んだりできるよう支援する「こどもホスピス」が、来年夏にも横浜市内に開所する見通しになった。建設費、用地ともに確保でき、年内着工を目指す。病院併設ではない単独のホスピスは大阪市の施設に次いで国内2例目。計画は札幌、福岡でも進んでいるほか、6月には東京都昭島市で新たなNPOが発足し、全国に広がっている。

 ケア続ける2万人

 こどもホスピスは1980年代に英国で始まった取り組みで、欧州で増えている。大人のホスピスと違うのは、医療やみとりが主目的ではなく、本人や家族の支援に重点を置いていることだ。

 国内初の施設として2016年にオープンした大阪市のTSURUMIこどもホスピスでは、定期的に子供が集まって料理を作ったり、動物と触れ合ったりするイベントを開催。家族で宿泊もできる。ゼネラルマネージャーの水谷綾さんは「家族で遊んだり学んだりして、共に過ごす時間は重要。今を大切にすることで、子供や家族に生きる意味を見いだしてほしい」と話す。

 小児医療の進歩により、以前に比べて重い病気の子供の命を救えるようになった。しかし、退院後も自宅で人工呼吸などの医療ケアを受け続けている子供が全国に約2万人いるといい、こどもホスピスに対するニーズは高まっている。

 病院にはない日常

 横浜こどもホスピスは横浜市立大の学生寮跡地に建設を予定。運営するNPO法人に、市が無償で貸与する。2階建ての施設は1階に食堂や多目的ホール、2階には個室3部屋と大きめの浴室を備える。「家族で入れるお風呂の希望が多かった」とNPO法人代表理事の田川尚登さん(62)。看護師が常駐するほか、緊急時は連携する病院が受け入れてくれる。

 利用できるのは、命を脅かす病気や重症心身障害の子供と、その家族。田川さんは「病気であっても子供は成長を続けており、遊びや学び、さまざまな体験を必要としている。家族と共に、リラックスして楽しい時間を過ごせる新しい居場所にしたい」と言う。手作りケーキを食べながらの誕生日会など、病院ではできない日常を過ごしてもらいたい考えだ。

 田川さんが取り組むきっかけになったのは、1998年に次女=当時(6)=を脳腫瘍で亡くしたことだった。小児緩和ケアと家族支援の遅れを痛感し、2014年からこどもホスピスに注力してきた。

 共通する課題は建設費や運営費などの資金集めだ。横浜は大口寄付もあり、当初の運営費も含め3億円の目標を達成できた。だが年間運営費は3500万~4000万円かかるとみられ、募金を続けることにしている。

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