トップは語る

日本交通 ホームランのような対策はない

 日本交通会長・川鍋一朗さん(49)

 --コロナ禍での全国のタクシー利用状況は

 「5月の最初の2週間が最悪期だった。東京は前年同月比60%以上減少した。6月は回復傾向。地方では京都が5月の2週間は85%以上減。山梨や石川も80%以上減だった。地方で廃業のニュースが出てきている。もともと厳しい経営状態があったのだろうと理解している」

 --モビリティテクノロジーズ(MoT)の配車アプリ普及などには追い風か

 「デジタルトランスフォーメーション(DX)が各産業で追い風なので、タクシー業界のDXが生業のMoTにも環境は良くなるだろうという希望的観測は持っている。実際にアプリ利用者は、挙手して乗車する人よりも、コロナ禍でも落ち幅が少ない。3月末までに日本交通は新しいシステムに移行した。自車の位置をセンターで把握するスピードが圧倒的に速くなっている」

 --タクシーで飲食店の弁当などを運べるように制度改正された

 「まだタクシーデリバリーは市民権を得ているとは言い難い。普段来店してくれているお客にタクシーデリバリーもありますよと紹介する例が多い。自宅でお祝い事とかでお店のおいしいものをお届けするのは一定の価値があると思う。温度管理などをしっかりとやっていきたい。高級な飲食店にも対応していきたい」

 --タクシー業界の淘汰(とうた)は進むか

 「タクシーの109年の歴史の中でもワースト(最悪)のケース。現時点の経営者が直面している最悪の事態なのはまちがいない。バブル崩壊、リーマン・ショック、東日本大震災の3・11よりも最悪で、過去に起きたような業界再編が起こりうる。各社でも全国タクシー・ハイヤー連合会でもやれることをこつこつとやる。ホームランみたいな対策はない」

【プロフィル】川鍋一朗

 かわなべ・いちろう 米ノースウエスタン大ケロッグ経営大学院で経営学修士(MBA)取得。2000年日本交通入社。05年同社社長とジャパンタクシー(現モビリティテクノロジーズ)社長就任、15年から日本交通会長。20年4月モビリティテクノロジーズ会長。東京都出身。

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