新型コロナウイルスの影響で、テレワークや感染者の少ない地方を拠点とした生活に注目が集まる中、新潟県湯沢町が移住促進に力を入れている。バブル崩壊後に空き室が増え、一時期は負の遺産として「負動産」と揶揄(やゆ)されたリゾートマンションを活用。事業委託した民間企業が6月から短期の賃貸を始めたほか、9月にも移住体験事業を始める。首都圏への時間距離も魅力で、町は「立地のポテンシャルは高い」として勧誘に躍起だ。
「東京まで最短で72分です」「新幹線通勤の補助は充実しています」
8月上旬、湯沢町で移住支援に取り組む企業「きら星」の草間沙織さん(33)がオンライン相談を受けていた。「自然豊かな環境で子育てがしたい」と話す東京都中央区の女性会社員(34)に、充実した教育環境や新幹線通勤費の補助など町のメリットをPRした。「きら星」などによると、町の移住相談は全国に緊急事態宣言が発令されてから徐々に増加。4~7月の相談は34人で、前年比2倍以上に。人口約8000人の町で、リゾートマンションの住人もこの4カ月で27人増え、1400人を超えた。
5月下旬に東京との二重拠点生活を始めたITエンジニアの喜多真史さん(26)は、町内の「シェアオフィス」を利用し、リモートワークで仕事に励む。町内のアパートを借りて生活しているが、喜多さんは「温泉が付いているなど設備が充実しているので、冬までに賃貸のリゾートマンションに住みたい」と語る。
湯沢町のマンション売買会社「ひまわり」によると、町内にはバブル期に建設されたマンションが50棟以上ある。その多くで売買可能な部屋があり、新築時に2000万円前後で売買されていた物件が今は10分の1以下で取引されているという。
町は現在、二重拠点生活の移住者らが増えるよう、社員が町内のシェアオフィスなどを利用した会社に、費用の一部を補助するなど新たな支援も検討していて、町企画政策課長の富沢雅文さん(50)は「リゾートマンションは町の『資産』。活用して移住や定住者がさらに増えるよう取り組む」と話している。