一方、トラベル事業が1人1泊当たり2万円を支援額の上限としていることから、より“お得”になる高級な宿泊施設や旅行先に人気が集まり、中小の事業者が恩恵を受けにくいことへの不満も聞かれた。熊本県小国町で温泉旅館「豊礼の湯」を経営する広瀬勝さんは「宿泊単価が数万円の近隣温泉地などでは上限まで支援が受けられるからか、盛況だと聞いている。うちは1泊1万円以下。支援策は『ないよりまし』という程度」とこぼす。
仙台市の旅館の担当者は、割り引きの対象とする団体旅行について具体的な基準が定められていないことに不安を示す。「10人前後、またはそれ以上の規模の団体旅行の予約は受けていない。若いグループの旅行の場合は身構えてしまう。念入りに感染対策を続けたい」と話した。
蒲生氏は会見で事業に参加した10施設で10人の新型コロナ感染者が確認されたことを明らかにし、感染拡大防止への取り組みを改めて求めた。また、トラベル事業に参加登録した旅行と宿泊事業者のうち、事業対象から除外されている東京の事業者の登録も約2千に上っていることも明らかにした。東京の事業への参加について蒲生氏は「感染の状況を踏まえた上で政府全体の方針に合わせる」と述べるにとどめた。