金融

地銀不良債権処理費5割増 コロナ禍での経営は五里霧中

 地方銀行は、新型コロナウイルスの収束が見通せない現状では融資先企業の倒産が増え、不良債権が膨らむ公算が大きい。政府は地銀に対し地域経済再生の主導役を期待する一方、再編圧力も強めている。コロナ禍での地銀経営は五里霧中だ。

 地元企業の命運握る

 「追加借り入れの要請に応じるのか、断るのか本当に難しい見極めが必要になる」。九州のある地銀幹部は、今秋以降の経営判断に今から頭を抱えている。国の信用保証が付く実質無利子・無担保融資の要請は一巡しつつあるが、業績が回復しない企業が多いからだ。

 無利子融資の上限は4000万円。地銀は今後、貸し倒れの心配もある自前融資で資金繰りを支えるかどうかの決断を迫られ、地元企業の命運を握ることになる。

 ふくおかフィナンシャルグループ(福岡市)は2020年3月期に傘下4銀行の合算で、前期比12倍の613億円の不良債権処理費用を予防的に計上した。ただ、こうした対応を取れるのは経営体力に余裕がある地銀に限られる。

 別の金融関係者は「無利子融資で売り上げが蒸発した企業の“止血”を優先してきた。詳しい財務状況まで把握しきれていない」と話し、融資先の状況把握が後回しになっている実情を明かす。

 地銀側の不安は、4~6月期の決算短信でも見て取れる。七十七銀行(仙台市)は「景気が一段と下振れするリスクも懸念され、貸倒引当金は増減する可能性がある」と明記。広島銀行(広島市)も不良債権処理費用の増加、株価下落による損失処理、営業自粛の長期化の可能性を列挙した。

 “目利き力”を発揮

 金融庁は19年12月、貸出債権の査定や引き当ての方法を定めた「金融検査マニュアル」を廃止。横並び意識が強い地銀の裁量を広げ、各地域に見合った経営を求めた。

 この結果、これまで融資が難しかった企業でも将来性を評価し、貸し出すことが可能になった。大和総研の坂口純也研究員は、検査マニュアル廃止により「金融機関が“目利き力”を発揮する余地が生まれた」と評価し、企業の再生支援により積極的に関われるようになったとみる。

 金融庁の氷見野良三長官は「成長する可能性がある企業と(新型コロナで)不確実性があるという理由で付き合わないのは、地銀の将来もつぶすことになる」とくぎを刺す。

 政府は、公的資金注入の申請期限を26年3月まで4年間延長する改正金融機能強化法を今月14日に施行。従来より緩い条件で地銀の資本を厚くし、貸し出し余力を高める措置を用意した。

 一方で、11月には経営統合や合併を期間限定で促進する特例法を施行予定で、生き残りに向け再編も後押しする。「地銀の展望が明るいわけではないが、道が開けないわけではない」と氷見野氏。収益が細る中、どう地域経済を支えるのか。各銀行の独自戦略が問われている。

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