金融

地銀不良債権処理費5割増 上場78社4~6月期、42%減益

 東京証券取引所などに上場する地方銀行78社が2020年4~6月期決算で計上した不良債権処理費用は679億円と、前年同期に比べ約5割増えた。三菱UFJモルガン・スタンレー証券が集計した。新型コロナウイルスの流行で融資先企業の業績が悪化し、処理費用が膨らんだ。超低金利の長期化で収益力が細る中、さらなる減益要因となり、最終損益合計は前年同期比42%減の2006億円だった。

 政府が打ち出した実質無利子・無担保融資により、中小企業の資金繰り不安は一服している。ただ、感染症の収束が見通せずに需要が戻らない業種も多く、同社の安岡勇亮アナリストは「貸し倒れは7~9月期以降に増えるとみられ、地銀経営は厳しい局面が続く」と分析した。

 78社の約6割の46社の最終利益が減少、2社が赤字だった。不良債権処理費用に加え、預金と融資の金利差である「利ざや」の縮小傾向が響いた。新型コロナで積極的な営業を自粛し、投資信託や保険の販売手数料が落ち込んだ銀行もあった。

 最終損益が赤字に転落したのは福島銀行(福島市)と百十四銀行(高松市)で、いずれも有価証券の損失処理が響いた。

 不良債権処理費用が前年同期より増えたのは48社に上った。増加額が最大だったのは48億円の八十二銀行(長野市)。私的整理に踏み切った自動車用エアコン部品、サンデンホールディングスの主力行の一つである群馬銀行(前橋市)が43億円で続いた。

 地銀が5月以降に注力する実質無利子・無担保融資は国の保証が付いており、不良債権にならない。金融庁はコロナ禍を受け、過去の融資の貸し倒れリスクも柔軟な査定を容認しており、この方針がなければ不良債権処理費用はさらに増えていた可能性がある。

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