金融

政権起爆剤のアベノミクス、黄昏の気配 (2/2ページ)

 ただ、景気悪化はコロナだけの責任ではない。政府は平成31年1月時点で、政権発足と同時に始まった景気回復が「いざなみ景気」(14年2月~20年2月、73カ月間)を抜き戦後最長になったとの見方を示した。だが、実際は米中貿易摩擦の影響で30年10月から後退局面に入ったことが内閣府の有識者研究会により事後判定された。

 戦後最長とされた景気拡大も結局は幻だった上、過去2回延期した消費税増税について、後退局面に入っていた昨年10月に強行した“判断ミス”も裏付けられた。

 足元では新型コロナの感染が再拡大し、経済再生と感染抑止を両立するめどは立たない。失業者が今後急増すれば、最大の成果である雇用環境の改善も雲散霧消する。政権の起爆剤となったアベノミクスはこのまま落ち目となるのか否か。首相は来年9月の自民党総裁任期満了を控え、最大の試練にさらされている。(田辺裕晶)

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