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パラの好景気、延期で陰り 離れる企業、問われる支援の在り方

 華やかさを増す障害者スポーツの祭典、パラリンピックの自国開催に向け、陸上や競泳など主要競技の国内統括団体はスポンサーからの協賛金収入が膨らみ続ける空前の好景気を享受してきた。だが東京大会が1年延期されたことでパラスポーツ支援には陰りが見え、その在り方を問われている。

 「もともと1年限定」

 昨年に日本パラ陸上競技連盟と日本身体障がい者水泳連盟の大口スポンサーとなった東証1部上場の2社は、今年3月に大会延期が決まった後は支援を続けなかった。両社の広報担当は「もともと1年限定だった。契約は満了した」と声をそろえたが、陸連関係者は「全てのスポンサーに契約延長のお願いはしている」と落胆を隠さなかった。

 背景には、一部でCSR(企業の社会的責任)活動の一環としてパラ支援に乗り出す企業が、資金運用を広告代理店に委託する構図がある。意思疎通が乏しいため、支援方針で企業と競技団体に認識のずれが生じる。陸連関係者は「細く長くでいいので長期間支援してほしい。単年で大金をもらっても計画的に予算を組めない」と漏らした。

 新型コロナウイルス禍による経済環境の悪化も支援の打ち切りや協賛金の減額を招いている。競技団体とスポンサーとの関係に詳しいパラ関連団体幹部は「寄付金ではなく、マーケティング費用として捻出する企業は、予算縮小を検討することもあるだろう」との見方を示す。

 近年にパラリンピックでメダル数を伸ばしてきた中国やブラジルでは、パラ選手の強化や生活に関わる費用の多くを税金で負担している。両国とも行政が旗を振って財源を確保し、設備の充実した練習拠点で長期の合宿生活を送っている。

 5団体が減額通知

 日本でも東京大会を前にスポーツ庁などからの助成金は増えたが、多くの選手が障害者雇用制度の下で働き、仕事と競技を両立しているのが現状だ。助成金と両輪になる協賛金が先細りすれば、メダル獲得ランキングで64位に沈んだ前回リオデジャネイロ大会からの浮上は失速する。

 共同通信の調査によると、パラ選手を抱える26の競技団体のうち、少なくとも5団体がスポンサーから契約金減額を通知された。東京大会は開催を契機としたパラ競技の発展や障害者のスポーツ参加促進がレガシー(遺産)として期待されるが、企業の「パラ離れ」が機運上昇に水を差す。日本障がい者スポーツ協会の井田朋宏強化部長は「困難に目を背けず向き合い、創意工夫して前に進むことがパラスポーツのコンセプト。企業側も一緒に感じて考えてほしい。こういうときこそ踏ん張って」と呼びかけた。

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