使用済みの携帯電話やデジタルカメラなど小型家電のリサイクル制度で、2018年度までに年間14万トンを回収するとした目標を達成できず、政府が目標時期を23年度に先送りする方針を固めたことが分かった。小型家電は貴金属やレアメタル(希少金属)を含み「都市鉱山」と呼ばれるが、制度の周知不足や回収態勢の遅れが響いた。本年度内にも目標を定めた基本方針を改める。
制度は13年に始まったが、リサイクルは努力義務にとどまっており、回収率は低迷。東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会がメダル用の金属を集めようと協力を呼び掛けるなどして、18年度は前年度に比べ約3割増の10万トンとなったが、目標には届かなかった。制度の認知度も上がらず、家電量販店や小売店だけでなく、市町村による回収も伸び悩んでいる。内蔵するリチウムイオン電池に火災リスクがあるため、回収に二の足を踏む業者もいるという。
経済産業、環境両省は今後、家電業界や地方自治体に協力を求めるほか、足を運ぶ機会が多いスーパーへの回収箱設置を進めるなど、回収率の引き上げに向けた具体策の検討を急ぐ。
自治体による小型家電のリサイクル事業をめぐっては、回収や運搬などの経費がリサイクル業者への売却額を上回っているケースがあるとして、総務省が17年、採算を改善するよう環境省に勧告した。