幅広い業種に浸透
ここ数年、積極的な出店で急成長している外食チェーン、串カツ田中ホールディングスは「年間30~40人のリファラル入社がある」状況で、採用の主力手法として定着してきた。
日立製作所や富士通などに加え、トヨタ自動車、りそなホールディングスも導入を表明するなど、製造業や金融など幅広い業種の大企業にも浸透し始めた。
自動車業界では電動化や自動運転など「CASE(ケース)」と呼ばれる次世代技術、金融業界では金融とITが融合する「フィンテック」への対応を迫られており、高度なスキルを持つ人材の確保が急務だ。人材大手、エン・ジャパンの人事向け総合情報サイト「人事のミカタ」の手塚伸弥編集長は「大手企業でも(リファラル採用を)制度化し、門戸を開くことが増える」と予測する。
リファラル採用の隠れた効用も指摘されている。社員が友人・知人の人生で大きな影響を与える就職先・転職先を紹介するには、「自分の会社を薦めることができる」のが大前提だ。リファラル採用が増えるかどうかは、社員が自社をどう評価しているかを測る“モノサシ”になっている。
ただ、リファラル採用では、価値観の合う知人や仲の良い友人を紹介するケースが多く、「組織の同質性」が高まったり、派閥が作られてしまったりというデメリットも指摘されている。
リファラル採用への期待は大きいが、現場では不安や懸念材料もある。エン・ジャパンが35歳以上のミドル世代を対象に行った調査では、これまでの人間関係の変化を心配する声が圧倒的だった。
「リファラル転職の誘いを受けたが、選考を受けなかった」理由(複数回答)は、「友人・知人との関係性が崩れないか心配になった」が38%で首位だった。
同じ調査で、リファラル転職で入社して苦労したことを自由回答で尋ねたところ、「知人が(採用企業の)代表であり、互いに気を使うようになった」「誘ってくれた人が急な転勤となり、フォローしてもらえなかった上、周囲の期待や要求に応えるのに苦労した」といった本音が聞かれた。(平尾孝)