金融

クレカ会社が政府に「憤慨」 マイナポイント不参加が相次ぐ真相 (2/2ページ)

 しかし、キャッシュレス還元終了間際の6月、カード会社には思わぬ仕打ちが待っていた。政府が決済手数料情報を開示する考えを示したのだ。

 決済手数料はキャッシュレス事業者が、決済のたびに店舗から徴収するものだ。決済額の数%を徴収しているが割合は非開示となっている。店舗側にとってはキャッシュレス決済導入の重荷になっており、政府は手数料を公表することで競争を促し、手数料の抑制を図ろうとしたのだ。

 ただ、決済手数料はカード会社にとって、分割払い時の手数料と並ぶ2大収益源。あるカード会社の幹部は「キャッシュレス還元では政府に協力したのに、裏切られた気分だ」と憤る。

 こうした中で参加事業者の募集が始まった政府のポイント還元策の「第2弾」にあたるマイナポイント事業。「同じ轍(てつ)は踏まない」(関係者)と、カード会社の不参加が相次いだのだ。

 経産省によると、今年3月末時点でクレジットカードを発行する事業者は250社を超えるが、マイナポイント事業に参加したのは23社のみ。JCBや三菱UFJニコス、クレディセゾンなど大手も相次いで参加を見送った。

 マイナポイント事業に多くのクレジットカード事業者が参加しないことについて、大和総研の長内智主任研究員は「マイナポイントが盛り上がらない要因の一つだ」と話す。普段使っているクレジットカードが使えないことで、登録を見送る人も少なくないと考えられるからだ。

 実際、8月25日時点でマイナポイント事業に申し込んだのは329万人。マイナンバーカード保有者の1割強に留まっている。

 長内氏は「今回のような短期間の施策で民間を巻き込むのには限界がある」と指摘する。事業者にとってはシステム改修費の方が高くつくリスクがあるためで、「本当にキャッシュレスを推進させたいならば長期的な施策を実施して、定着を図っていくべきだ」と話している。(経済本部 蕎麦谷里志)

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