中小企業へのエール

消えたパートナー 外国人の地位保全を急げ

 京都先端科学大・旭川大客員教授 増山壽一

 来年に延期された東京五輪をホストする日本が、今世界のビジネス界から大きな失望を買っている。年初までは、外国からの観光客を歓迎し、世界のビジネスパーソンを東京に集めて、ロンドンや米ニューヨークに負けない国際的なビジネス都市をつくるはずであった日本だが、新型コロナウイルスが一変させた。

 4月3日以降、政府は「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」および「定住者」(4資格)の在留資格を持つ外国人であっても、入国拒否の国に出国した場合、再入国を認めない措置をとった。

 この厳しい制限は、徐々に緩和されているが、これも事案に即した個別判断となる。当然、上記以外の「経営・管理」「高度専門職」「技能実習」「教育」「留学」などの一時的な在留資格を持つ外国人で、4月3日以降に出国した外国人約10万人に対しても原則再入国はできない。これについても世界的な批判を受けて徐々に緩和の方向となっているが、あくまでも個別判断だ。

 4資格や専門性のある在留外国人は、日本社会や経済に大いに貢献し、日本人以上に納税義務を果たしているにもかかわらず、出国したのが日本国籍であれば入国ができ、日本国籍がないと基本再入国できないのだ。ちなみに先進主要国の中で国籍をベースに新型コロナの入国管理を行っているのは日本だけである。

 日本の出入国管理法(入管法)は、国籍を基礎に入国管理を行う法律上のたてつけになっているからであろうが、今回の件は、優秀な外国人を日本に集めて日本の成長戦略の柱にしようとする政府の姿勢が見掛け倒しであったことを強く印象付けてしまった。

 今一度、日本国が守るべき日本人とは、日本に住む日本国籍の者、日本に住む永住権を持つ外国人、外国に住む日本国籍者、日本に住む専門性ある外国人、日本に住む留学生や比較的単純な仕事をする技能研修生のうちどこまでなのかを真剣に考えるべき時がきているのである。

 日本の中小企業経営者にとっても、ビジネスパートナー、あるいは従業員などが外国人である場合に、今回のような事象が起きたときにどのように対処したらいいのかを改めて考える機会が多くあったのではないか。

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【プロフィル】増山壽一

 ますやま・としかず 東大法卒。1985年通産省(現・経産省)入省。産業政策、エネルギー政策、通商政策、地域政策などのポストを経て、2012年北海道経産局長。14年中小企業基盤整備機構筆頭理事。旭川大学客員教授。京都先端科学大客員教授。日本経済を強くしなやかにする会代表。前環境省特別参与。著書「AI(愛)ある自頭を持つ!」(産経新聞出版)。57歳。

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