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自転車人気で市場縮小の歯止めに期待 企業は仕方なく許可か「事故のリスクも…」

 新型コロナウイルス流行下で自転車の人気が高まっている。通勤電車や人混みを避けようとする動きが広まっているためで、足元で販売台数が大きく伸びた。少子高齢化の影響で国内市場は縮小傾向にあるが、業界関係者からは「自転車の良さが見直され、回復に転じれば」と歯止めを期待する声が上がっている。

 宣言解除後に急増

 「感染が怖いので電車やバスに乗りづらくなった」。8月上旬、自転車販売店「サイクルベースあさひ」の寝屋川店(大阪府寝屋川市)には、60代の女性会社員が電動アシスト自転車を買いに来ていた。

 運営会社のあさひによると、全国の月次既存店売上高は4、5月度は前年同月と比べて減少したが、6、7月度は約4割、8月度も約3割増えた。

 外出自粛が求められた政府の緊急事態宣言の解除後に来店客が急増しており、担当者は「春の買い替え需要がずれ込んだ面もあるが、『密』を避けようとする社会情勢が追い風になっている」と、販売が好調な理由を説明する。

 自転車産業振興協会(東京)のまとめでは、生産と輸入を合わせた国内向けに出荷されたとみられる自転車の台数は減少傾向にある。

 2019年は消費税増税に伴う駆け込み需要もあって前年比1.2%増の約712万台と8年ぶりに前年の水準を上回ったが、20年は反動減が懸念されてきた。そうした中で新型コロナ感染が拡大し、業界に特需が生じた。

 国内外に自転車部品を提供するシマノの島野容三社長は、7月の決算記者会見で今後の市場動向を聞かれ「スポーツや通勤、通学の需要は根強い」と強調。20年の上半期は各国の都市封鎖措置で販売活動が停滞したが、下半期は売上高や本業のもうけを示す営業利益の回復を見込む。

 パナソニックは通勤にも使える電動スポーツタイプの売り上げが伸びており、7段変速のエントリーモデル「ベロスター」の販売は、6、7月に前年と比べて約8割増えた。

 仕方なく許可?

 大企業向けのITサービスを手掛けるワークスヒューマンインテリジェンス(東京)が顧客を対象に5月に実施した調査では、全社的に自転車通勤を許可していると回答した企業が51.3%だった。2月調査では19.2%にとどまっていた。

 コロナ禍を契機に大きく伸びてはいるが、広報担当者は「社員が事故の当事者になるリスクが問題視されており、仕方なく許可したケースも多い」と実態を説明する。

 東日本大震災が起きた11年も自転車の出荷は増えたが、市場縮小の流れは止まらなかった。今回の人気が持続するかどうかは企業の体制整備がポイントの一つだ。ある自転車メーカーの関係者は「自転車通勤の流行が企業側の受け入れ準備の加速につながれば」と話した。

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