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変わる働き方 成長戦略描く人事労務を

 パソナグループが本社機能を東京から淡路島(兵庫県)に移転する方針を明らかにした。営業、人事部門などの社員約1000人を2024年春までに淡路島に異動させるという。東京に企業が一極集中し、同じ時間帯に狭い範囲に人がうごめいていること自体がコロナ禍においてはリスクと捉えたからだろう。(となりの法律事務所 パートナー弁護士・沖崎遼)

 最近では都心のオフィスの解約が進み、空室が増えているという話もよく耳にする。コロナ禍の対応では、オフィスでの業務が必ずしも必要ではないことが分かり、多様な働き方が一気に進んだ。勤務時間、勤務場所をはじめ、働き方改革に適合する人事労務の見直しと再整備が不可欠になってきた。

 働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(いわゆる「働き方改革関連法」)は19年4月に施行され、20年4月には中小企業における残業時間の上限規制が適用された。働き方改革の柱は「労働時間法制の見直し」と「雇用形態に関わらない公正な待遇の確保」。労働時間の厳粛な管理を前提として、個々の部署、所属する従業員に合わせた柔軟な働き方や、人事評価の適正化を図っていく必要がある。その際、人事労務は単に労働法規を順守するという「コンプライアンス」の意識だけでなく、「成長戦略」としての意識をもって臨んでほしい。

 厚生労働省は「働き方改革」について、「投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題」とした上で、課題解決のため「個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人一人がより良い将来の展望を持てるようにする」と、基本的な考えを示している。

 つまり、労務環境を整備することによって、生産性の向上、企業の評価の上昇を見込み、それが優秀な人材の確保につながるという正のサイクルを生み出す。まさに企業にとっての「成長戦略」という側面がある。

 中小企業は従業員一人一人のウエートが大きく、役割が広くなりやすい性質があるのである程度はやむを得ないものの、往々にして従業員の人事労務の甘さが目立つ。ブラック企業に勤務した経験を持つ仲間が主催するビジネス交流会の「ブラック企業座談会」にサポーターとして筆者が参加し、経験談を聞くと、業種を問わず従業員を「物」のように扱う企業が少なくないことが分かる。本来、企業にとって従業員は、生産性を向上させるための重要な役割を担う「宝」だ。

【プロフィル】沖崎遼

 おきざき・りょう 北大法卒、北大法科大学院修了。2012年12月弁護士登録。横浜の弁護士事務所を経て18年1月から現職(第二東京弁護士会)。予防法務に力を注ぐほか、中小企業法務を中心に利益の最大化に役立つサービスをパッケージ化して提供。対処法務やビジネスの仕組みに対しての提案も行う。33歳。北海道出身。

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