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「農業×福祉『農福連携』」(下)胡蝶蘭職人として開花する知的障害者の能力 (2/2ページ)

 胡蝶蘭を買ってくれる個人支援者の「苗オーナー」は1500人を突破。1万円で10苗を購入すると半年で1本1万円、計10万円の生花に育つ。そのうち1本をオーナーに還元し、残り9本の売却益を障害者の工賃とする仕組みだ。「新たな花の買い方。母の日ギフトなどの共感消費が生まれている」と那部さん。

 需要拡大と遠方の就労希望者に応えるため、近所の一軒家を借り上げて家賃実質ゼロ円(国の家賃補助1万円を活用)のグループホームも建設した。

 最終目標は、(上)編で紹介した帝人の特例子会社のように自社で胡蝶蘭ハウスを建て、障害者を雇用する企業が全国各地に増えることだ。

 胡蝶蘭が含まれる洋ラン類の市場は、日本では菊に続く花き2位の位置づけで、353億円(政府統計・平成30年)の出荷額を誇る。「この3割、100億円を障害者の仕事にしたい」と那部さんは熱く語る。開花させたいのは、1人1人が内に秘めている可能性だ。

■農福連携 障害者の労働力を農業分野に活用することで、社会参画と自立を促す福祉の推進とともに、後継者不足や耕作放棄といった農業の諸問題解決を目指す取り組み。昨年、省庁横断の「農福連携等推進会議」が設置されるなど、官民あげての事業が各地で活発化している。

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