変貌する電機 2020年代の行方

東芝・車谷社長「本格的なデータ時代に、われわれは強い分野で勝つ」 (2/2ページ)

 --社会インフラのサービス事業に集中するため、遠い事業を切り離し、近い事業でM&A(合併・買収)する可能性は

 「ものづくりで営業利益率20%以上は出せない。営業利益率が高いサービスやデジタル、安定的なデバイスに集中して収益を出すことが重要だ。サービスやデジタルを大きくしないと、全体が上がらない。長期的には10~15%を目指したい。そのための投資を行いたい。M&Aは小ぶりや中ぶりを中心に既存事業に近く、良く知っている企業でないと成功確率は低い。サービスの畑を保有し、新しい技術や製造方法を持つ企業をM&Aする可能性はある」

 --新型コロナウイルスの感染拡大をどう見ているか

 「コロナの問題は長期化すると思う。デジタル化の社会変革がコロナを契機に一気に加速する。データを中心としたデジタル化が進み、われわれのビジネスを加速させる。当社も本社は7~8割が在宅勤務となった。これから(外部との)交渉は8割がテレビ会議になると思う」

 --この10年で電機業界が大きく変わったが、今後10年はどういう世界になると思うか

 「今後10年でデータ時代が本格化する。この10年はGAFAが独占したが、それは個人データが中心だ。今後の10年、20年を展望すると、インフラやPOSシステム、モビリティー、医療などのハードウエアからもデータが出てくる。現状はまだ10%ぐらいのデータしか使ってない。これからデータの爆発に誰が対応し、プラットフォーマーになるのか。われわれは強い分野に集中して勝ちたい」

 --データ以外の分野は

 「ヘルスケア分野の技術が進化する。当社の技術だが、血液を採取すると、がんが『ステージ0』から分かる世界が来ると思う。注射でがんを撲滅する時代になるかもしれない。ゲノム解析ツールの『ジャポニカアレイ』の開発を進めているが、DNAや細胞レベルの精密医療が劇的に進化する可能性もある。あとは環境エネルギーの考えが変わるかもしれない。温暖化の問題があり、二酸化炭素を排出しない技術が求められている。そこで東芝の技術が社会に貢献できればと考えている」

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