金融

不正引き出し、地銀の甘さ露呈 最も重んじる信頼感に傷

 電子決済サービスを利用した不正な預金引き出しの被害が拡大している。地方銀行でも9行で被害が確認され、銀行のセキュリティー意識の甘さも露呈した。銀行が最も重んじる信頼感にも傷が付いた格好だ。

 全国地方銀行協会の大矢恭好会長(横浜銀行頭取)は16日、定例記者会見を開き、不正引き出しの原因について「顧客の利便性確保とセキュリティーのバランスを欠いていた」と述べ、一部の地銀で本人確認が甘かったとの認識を示した。

 これまでに被害が確認された地銀は、みちのく銀行、七十七銀行、東邦銀行、大垣共立銀行、第三銀行、紀陽銀行、滋賀銀行、中国銀行、鳥取銀行の9行。

 いずれもNTTドコモの電子決済サービス「ドコモ口座」と銀行口座をひも付ける際、本人確認を徹底する「2段階認証」を怠っていた。

 これに対し、被害の出ていない多くの銀行では、通常の本人確認に加え、利用者の携帯電話に1回限り使えるパスワードを通知して入力させるなど、複数の認証手段を組み合わせることで、なりすましを防いでいる。

 不正引き出しが多発している現状について、大矢氏は「銀行にある信用や信頼感が部分的に傷ついた」と述べた。まずは銀行と決済サービス業者による被害顧客に対する保障を行った上で、被害の出ていない銀行も含め顧客からの問い合わせや相談に応じることで、信頼回復に努める考えを示した。

 地銀をめぐっては、菅義偉首相の就任を機に再編の機運が高まっている。地銀が持続可能な収益モデルを確立していくには、セキュリティー対策充実のための資本力や人材確保も重要なポイントとなりそうだ。(米沢文)

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